カフェ、と聞くとゆったりとした気持ちになるのはなぜだろう。自宅でもコーヒーを飲めるはずだが、ちょっと家を出て、カフェでコーヒーを一杯飲みたくなる。
小田急線玉川学園前駅から歩いて徒歩3分。The GOSPEL CAFE にも、一杯のコーヒーを飲みに多くのお客が集まってくる。カラン、コロンとドアを開けて店内に入ると、ソフトなゴスペルソングが自然と耳に入ってくる。友人の家に遊びに来たような、居心地の良いリビングにいるような、そんな気持ちになる。
オーナーの白鳥シェーン・アカリ夫妻は、6年前に店をオープンした。米国には、クリスチャンカフェもブックストアもたくさんあるが、日本には多くない。クリスチャンたちがくつろげて、ノンクリスチャンの人が他とは違う雰囲気を味わえる、そんなカフェを作りたい。20年の在米歴があるシェーンさんの熱い思いを受けて、アカリさんが一人で店を始めた。そして、2011年春、シェーンさんもサラリーマン生活を卒業し、一緒に働きを始めた。
白鳥さん夫妻の仲の良さは地域の人のお墨付き。パンを買いにやって来た地域の人も、「いつも2人が仲が良くて」「2人の温かさがお店の雰囲気を作ってるのよ」と口々に言う。
The GOSPEL CAFE がある玉川学園商店会は近年、高齢化が進み、シャッターが下りる店が目立ち始めた。手を取り合ってなんとか盛り上げていこうという動きが始まっているが、まだ方向性が見えない部分も多い。「どうしたらいいか分からないんだよ」と商店会歴の長い地域の人たちが、本音をこぼしにやってくるのも、カフェというくつろぎの場所だからこそ。
事実、The GOSPEL CAFE には、高齢の人や、うつ病など心に病を負っている人など非常に多くやって来るという。さらには、クリスチャンでありながら教会につまずきを覚え、遠ざかっている人たちが集まるようにもなった。一度教会に疲れてしまうと、世間と教会との距離を感じて、なかなか戻ることができない。そのような人たちが、教会へ戻るためのきっかけを提供したい。世間と教会との間に立ち、教会への入り口、つなぎの場になることを夫妻は願っている。それができるのは、個人経営のカフェだからだ。教派・教団を超えて地域の教会と連携が取れる強みがある。
現在は、2階のカフェスペースで東京ホライズンチャペル町田が水曜日に、JECA柿生キリスト教会が2カ月に1度バイブルスタディを行っている。また、ゴスペルワークショップも行われており、「主を賛美しよう!」と日本語のゴスペルソングが2階から聞こえてくることもあるのだとか。
The GOSPEL CAFE おすすめのスープカレーは、友人から譲り受けた南インドのカレーレシピと、アカリさんの出身地・札幌のスープカレーを融合させた、ここでしか味わえない一品。
開店当初は、チップスやチリコンカン、クラムチャウダーなど、米国カラーの強いメニューを出していたそうだが、地域の人たちの要望を受けて、口当たりの柔らかい、健康に気遣ったメニューへと軌道修正を重ね、地場野菜をじっくり煮込んだスープカレーにたどり着いた。
商店会のパン屋が閉店した際には、「パンを作ってくれないかしら」という要望に応えたこともある。地域の特色に合わせて、地域の人たちと一緒に成長してきた The GOSPEL CAFE だからこそ、多くの人たちの心がほっとくつろぐ場所であり続けられるのではないだろうか。
最近は、The GOSPEL CAFE で行なわれている英会話教室に子どもたちからの問い合わせが多く入るようになってきた。「地域の高齢の人だけでなく、これからは子どもたちにもアプローチし、幼いときから神様に触れてほしい」と、白鳥夫妻は期待を語る。
今日も The GOSPEL CAFE は、「他でコーヒーを飲もうと思ったけど、ここに来たわ」とやってくるお客に、コーヒーの香りに乗せて、キリストのかおりを届けていることだろう。
営業に関する詳細・問い合わせは、The GOSPEL CAFE のホームページまで。