いつも健康でいたい。誰しもがそう願っているだろう。病の中にある人はもちろんのこと、今は何の病気もないという人も、「身体に良い」と聞けば、新しい健康法をあれこれ試してみたくなるものだ。
運動や健康食品など、さまざまな健康法のブームが定期的にやってくるが、毎日自分が食べているものを根本から見直したことはあるだろうか。見直すといっても、よく分からないという人におすすめなのが、千葉県松戸にある「晴れる家cafe」だ。「食の本質を考え健康と安全と美味しさにこだわった玄米菜食カフェ」がこのカフェのコンセプト。健康で安全、しかも美味しいというのだから、言うことなしだ。
店内に入ると、左手いっぱいに広がる土壁が目に飛び込んでくる。手形のついた壁が、優しく温かな雰囲気を演出している。昼過ぎに伺ったので、ガトーショコラを注文。一見何の変哲もないガトーショコラだが、一口食べてみると何かが違う。普段チョコレートを食べたときに身体に走る衝撃がまったくなく、体に自然に取り込まれる感覚がするのだ。そして、ほのかに大豆の香りがする。それもそのはず、このガトーショコラには、乳・卵・白砂糖・トランス脂肪酸が一切使われていない。その代わり、自家製の甘こうじ・味噌・豆腐で深い味わいを持たせているのだ。
「晴れる家cafe」で使用される野菜の仕入れ基準は、最低でも有機栽培という高い基準のもの。その中でも中心となるのが、無農薬・無肥料の自然栽培の米や野菜だ。その食材を、化学調味料や添加物を用いることなく調理し、提供する。そんな食への強いこだわりに惹かれるようにして、昼の時間帯を過ぎても、途切れることなく客がやってくる。
注文されたメニューを出す際に、料理のこだわりを丁寧に説明し、「農薬大国の日本に自然栽培が普及すれば良くなっていく。消費者から変えていきましょう」と話すのは、オーナーの斎藤晃さん。神戸で居酒屋を経営していた経験のある料理人だ。天然の昼網魚貝、本物の食材などのこだわりを突き詰め、健康や農業を勉強する中で自然栽培と出会った。本物の野菜と、それを作っている農家を紹介したい。農と食と健康はつながっている。薬や医者に頼るのではなく、食やライフスタイルによって自然治癒力を高め健康に生きるのが理想の生き方。そのようなライフスタイルを伝えたいという思いから、オーナーのメッセージを発信しやすいカフェという形で妻のかおりさんと営業を始めた。
食べ終わった客は、「野菜一つひとつに味がしますね」「野菜が最高に美味しかったです」と、斎藤さんに声を掛ける。自然栽培の野菜や天然由来の発酵・酵素食品によって、人間の持つ本来の免疫力や自然治癒力を高めるライフスタイルを広めたいと願っている斎藤さんにとっては、嬉しい反響だ。
客が帰り支度を始めると、斎藤さんはこう話しかける。「私たちはクリスチャンなんです。みなさんの祝福のために祈らせてもらってもいいですか」。怪訝(けげん)な顔をし、断って帰ってしまう人もいるが、多くの人が「お願いします」と斎藤さんの祈りに耳を傾ける。
心を開いているな、と感じると、「一番大事なことを最後にお話しさせてください」と、斎藤さんは話を続ける。
私たちには罪があるということ。その罪が壁となって、神との関係を妨げてしまっていること。罪があっても生きてはいけるが、いつか死後に裁かれること。罪によって天国には入れずに永遠に地獄で苦しまなければならない。死はいつ訪れるか分からず、5年後か10年後か、あるいは明日かもしれない。そんな私たちと神との仲裁者としてイエス・キリストが十字架にかかってくださった。そのおかげで罪は赦され、天で永遠に神と素晴らしい時を過ごすことができる。それが福音であり、十字架は、信じようと信じまいと2000年前に成就したのだと伝える。
「あとは、それをみなさんが受け取るだけです。もし受け取れていないのなら、めっちゃもったいない。聖書には、心に信じて義と認められ、口で告白して救われると書いてあります。今受け取る気がある人は、僕の後に続いて、イエス様の救いを受け入れる祈りを一緒にしましょう」。そう言って斎藤さんが祈り始めると、その祈りに続いてみな口を開く。こうして、この「晴れる家cafe」では、毎月平均100人ほどの人が救いの告白に導かれているのだという。
ここに至るまでの道のりにはさまざまな出来事があった。カフェを始めるにあたり、店の名前はまったく別のものを考えていたのだが、オープン直前に「ハレルヤカフェ」と示された。神様の御名をほめたたえ、心も晴れやかになってほしいと、日本人にも親しみやすいよう「晴れる家」と書くことにした。最初は店内にみことばカードを置いたり、BGMにワーシップソングを流す程度に控えめなアピールをするにとどめていた。
しかし、食の本質に関して講演を依頼されたり、自然栽培教室で話をする中で、一番伝えたいことはイエス・キリストのことだと思うようになっていったという。伝道するにはある程度の時間が必要かもしれないが、来店した客のために祈ることならできると祈り始めていく中で、救いの告白にまで導かれる人が起こされ始めた。
ある時には、グルメサイトで批判的なコメントがあることを知り、気落ちしたこともあった。売り上げが思うように伸びずに悩んだこともあった。伝道のやり方が間違っているのではないかと、悔い改めさせられることもたびたびあった。
そのたびに、神の御心を求め、祈りの中で与えられた答えに確信を持って続けてきた結果が、今、実となっているのだ。
救いの告白に導かれた人たちには、罪とは何か、救いとは何かを、さらに理解しやすいようにまとめたプリントと新約聖書をプレゼントする。「祈りや聖書を開くことは強制ではないけれど、たくさんの祝福がありますよ」と温かい笑顔で送り出す。
7月からは毎月一度、新宿シャローム教会の真島誠牧師をメッセンジャーに迎え、カフェ礼拝を持つようになった。「晴れる家cafe」で救いに導かれた人たちがクリスチャンとして成長できるようにサポートしていくことが次なる課題だ。
「晴れる家cafe」で実り始めた救いの実が、これからどのように大きく育っていくのか、期待でいっぱいだ。
営業に関する詳細・問い合わせは、「晴れる家cafe」 (ホームページ、電話:047・362・9159)まで。