リベリアのあるカトリック司教は、エボラ出血熱による危機の中で、自国民が「くず」のように扱われているという。
リベリア中部にあるバルンガ教区のアンソニー・ボルワー司教(48)は、リベリアの危機が原因で、ローマで開かれている「家庭」をテーマとした世界代表司教会議(シノドス)臨時総会に行くことができないという。
リベリア人の家庭が直面している課題は、エボラ出血熱だけではなく、複婚や移住、失業、父親的存在の欠如、家庭内暴力、子どもの人身売買、そして性観光産業も含まれると、彼は言う。
米タイム誌の最新号のインタビューでボルワー司教は、エボラ出血熱で亡くなった人たちの中には、彼の霊的指導者であるスペイン出身のミグエル神父、彼の恩師で医師でもあるアブラハム・ボルボル、そして彼の祈りの仲間であるティディ・ドグバが含まれることを明らかにしている。また、他の親戚や友人たちもエボラウイルスで倒れてしまった。「自らの民の司教として、私はここで暮らしているときはいつも、彼らの傷や痛みを心の中にとどめている」と、彼はタイム誌に語っている。
ボルワー司教はシノドスには参加していないものの、会議録の最終版の一部をなす文書を提出した。それにはこう書かれている。「内戦の間に広まっていた貧しい人たちからの実存に関わる問いが、再び投げ掛けられている。神はどこにいるのか?私たち(リベリア人)はどんな悪いことを再びしたというのか?どうして私たちは再び見捨てられて世のくずとされてしまったのか?」 リベリアでは10人中8人が貧困線の下で暮らしている。
エボラウイルスを無事に切り抜けて生き残ったとしても、その人は他の悪霊に付きまとわれてしまう。「最近生き残った人たちのうちの一人――私の親戚なのだが――が自殺を図った。その時、人は彼を避け、彼は自分がもう愛されるに値しないと感じたのだった」と、ボルワー司教はタイム誌に語った。
ボルワー司教は、西洋諸国がもっと助けの手を差し伸べてほしいと訴えている。「私たちは、空腹で怒っている多くの人たちに食事を与えるために、そしてエボラ出血熱にかかった生存者で烙印を押されている人たちを世話し助言するために、もっと多くの支援が必要だ」
訳者注:国連の世界保健機関(WHO)による17日付の報告によると、14日までにエボラ出血熱の感染が確認され、あるいはその可能性や疑いがある症例は、ギニア、リベリア、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、スペイン、米国の7カ国で合計9216件に上り、4555人が死亡した。このうちリベリアでの死者数は、13日の時点で2484人に上るという。