ウガンダ共和国に計100万冊のマンガ聖書の小冊子『ザ・メサイア』を発送するプロジェクトを行なっている新生宣教団は29日、新たに送る20万冊の『ザ・メサイア』の発送式を、埼玉県鳩山町にある同宣教団の施設で行なった。発送式には、ウガンダの特命全権大使であるベティ・グレイス・アケチ・オクロ駐日ウガンダ大使や鳩山町の小峰孝雄町長らが出席。同宣教団の関係者や支援者約70人が、日本から11万キロ以上離れた赤道直下の国、ウガンダへ送られる希望の本の出発を祝った。
100万冊の『ザ・メサイア』をウガンダに届けるというこのプロジェクトがスタートしたのは2009年。きっかけは、その前年にカナダの宣教団体と協力し、ウガンダの小中学校の教師に一般聖書28万3千冊を贈呈したことだった。その年、教師ばかりではなく、子どもたちにも聖書をと話が進み、続けて80万冊のマンガ聖書をウガンダ政府公認のもとで公立小学校に届けることになった。
その後、ウガンダの教会から要請があり、64ページに短くまとめた伝道用小冊子として作り直し、100万冊を送るというプロジェクトが始まった。多くの共感者による支援と祈りにより、10年、11年にはそれぞれ20万冊ずつを発送。途中、東日本大震災の発生により滞るが、今年第3弾となる20万冊を新たに発送することになった。
この日は発送式に先立ち、新生宣教団の施設見学も行なわれた。3階建ての同宣教団施設は1階と2階が印刷工場となっている。アケチ・オクロ大使らは、同宣教団スタッフからの説明を受け、マンガ聖書の製作過程を熱心に聞き入った。
13歳の時に信仰を持ったという熱心なクリスチャンであるアケチ・オクロ大使は、同宣教団のチャペルで行なわれたデボーション・タイムでも短いメッセージを伝えた。ウガンダで政治家として活動していた際、自分が運転していた前の車が反政府グループに襲われた。それはアケチ・オクロ大使を狙った犯行だったが、曲がる道を少しでも違えば命がなかったかもしれない。「神様を信じたら、何も偶然ではありません。いつも守ってくれます」とアケチ・オクロ大使。自身に起った奇跡のような経験を語った。
また、「惜しまず豊かに蒔く人は、刈り入れも豊かなのです」と伝える、第2コリント9章6~15節の箇所を引用し、新生宣教団の働きはまさに御言葉という種を蒔いている働きだと語った。「皆様が届けるマンガ聖書によって、ウガンダだけではなく、他の国々の祝福にもなっています」。さらに、こうした働きは「目に見えない数の多くの方々に祈りによって支えられています」と言い、ウガンダ教会による日本のための祈り、日本教会によるウガンダのための祈り、といった祈りの輪の大切さを語った。
発送式では小峰町長があいさつし、アケチ・オクロ大使と日本キリスト改革派坂戸教会の片岡正雄牧師が、『ザ・メサイア』が無事にウガンダまで届けられ、現地で用いられるように祈りをささげた。
今回発送される『ザ・メサイア』20万部は、主にウガンダ北部でキリスト教NGOのワールド・ビジョン(米国)の協力によって、さまざまな形で頒布されるという。アケチ・オクロ大使によると、現在ウガンダの人口の約84%がクリスチャンで、北部でもこの人口比率は大きく変わらない。北部ではこれまで反政府勢力「神の抵抗軍(LRA)」による被害が大きかった。子どもを拉致して少年兵にし、また少女を強制的に彼らの妻にするなど、悲惨な状況があった。しかし、06年以降はLRAの排除に成功し、現在は命の危険なく国内を移動できるという。しかし、「依然として、霊的、精神的、物質的支援が必要です」とアケチ・オクロ大使。ウガンダのために祈り、また関心を向けるよう求めた。
発送式後には、参加者によるフェローシップのひと時が持たれ、現在一時帰国中のウガンダ宣教師、佐藤一彦・のぞみ夫妻(滝山聖書バプテスト教会派遣)の長女と次女の2人が、ウガンダ現地で用いられている言語の一つであるニャンコレ語による賛美「ティンディバサクウェバ」と、「ユー・レイズ・ミー・アップ(You Raise Me Up)」を歌った。佐藤夫妻は1998年から16年にわたってウガンダで宣教を行なっている。この日は、のぞみ夫人と長女、次女の3人が参加し、南部のルエタンゴ村で行なっている教会開拓の様子を報告した。