【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)が、資金洗浄(マネーロンダリング)疑惑のあった「宗教事業協会」(バチカン銀行)や、権限が集中していた財産管理局のスリム化を柱とする組織改革を進めている。「貧者の教会」を訴える教皇フランシスコの意図に沿ったもので、金融・財務部門の改革は、バチカン自体の機構と体質を改善に進むのは必至。
バチカン銀行は、口座の洗い直しと一部口座の閉鎖により、昨年の収益が290万ユーロ(約4億円)にとどまった。前年の8660万ユーロ(約120億円)からは大幅減。
第二次世界大戦中の1942年、当時の教皇ピオ12世によって設立されたバチカン銀行は、本来世界各地のカトリック教会の活動のため、修道会や聖職者の資産を守ることが目的だった。その一方でマフィアによる資金洗浄や脱税などの疑惑がつきまとってきた。
組織改革はバチカン銀行を「教会を対象とする貯蓄、融資」という原点に回帰させるもの。これまで行ってきた投資活動は別組織の「バチカン資産管理」に移行する。財産管理局も不動産運用・管理部門を切り離す。
バチカンのマネー・スキャンダルでは、財産管理局の元高官がバチカン銀行を使って資金洗浄していた疑いで2013年6月、イタリア当局に逮捕されている。