日本聖公会は、今月1日に閣議決定された集団的自衛権の行使容認に抗議し、撤回を求める声明を発表した。
今月7日付で出された声明では、「集団的自衛権の行使容認は、日本が攻撃を受けていなくても他国のために戦争をすることを意味し、戦後の平和主義を捨て、戦争をしないという日本の国のあり方を根本から覆すものです」と指摘し、非難している。
また、集団的自衛権の行使容認は憲法9条の実質的な改変だとし、「国民不在の政府、与党の議論のみで進め、閣議決定するということは、立憲主義の原則を否定するということに他なりません」と、批判した。
政府は、集団的自衛権の行使要件として下記の3条件を挙げているが、声明では「極めて曖昧で、時の政府の判断によって自由な解釈がされてしまう危険性があります」としている。
■ 武力行使の新3要件
(1)我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、(2)これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、(3)必要最小限度の実力を行使すること
(2014年7月1日 国家安全保障会議決定・閣議決定「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」より)
一方、声明は、日本国憲法については、「過去の破壊的な戦争の反省に立って作られた憲法であるとともに、この戦争によって甚大な被害を受けた国内外の人々の尊い犠牲の上に作られた憲法」で、「国内外で平和憲法として認められています」と指摘。「集団的自衛権の行使を容認する閣議決定は、立憲主義と恒久平和主義をまさに捨て去るもので、到底認めることはできません」としている。