ウクライナ宗教情報サービス(RISU)が2日付で伝えたところによると、「正体不明の殺し屋」が、ウクライナ東部で親ロシア派の分離主義者たちの本拠地となっているドネツク地域の町、スラビャンスクにある「福音」教会の建物に忍び込んだ。この建物は入口が閉まっており、中には誰もいなかった。信徒が壊れたドアに気づき、後で正体不明の者たちがこの建物を訪れたとわかった。ドアの鍵は銃撃を受けていたという。
それから、彼らは窓が壊されているのに気がついた。そこを通って人がその建物の屋根の上まで登ることができたという。同地域の代表者たちは、そこで攻撃者たちが狙撃者のための軍事拠点を備えようと企てたのではないかとしている。
同地域にいるRISUのメンバーに対する説明によると、この「福音」教会は、屋根の上から町全体が見えるような位置にあり、ウクライナのハルキウからロシアのロストフまでの高速道路の交通を追跡することが可能。「彼らの見解では、親ロシア派の戦闘員たちが彼らの教会の建物を追跡や狙撃の場所かあるいは防空のために使うと決めたとしている」
同教会のピーター・ドゥドニック牧師は、実際に正体不明の武装した人たちが侵入していたことを確認した。「しかし彼は、あの時点では教会に正体不明の人たちなどいないと言っていた」という。同牧師は信徒たちに対し、平和のための祈りを強め、「福音」教会の建物がこの戦闘によって被害を受けることがないよう祈ってほしいと訴えた。
親ロシア派が占拠するスラビャンスクでは、親ロシア派とウクライナ政府との対立が武力攻撃に発展している。
インターネットの国際ニュースメディアである「VICE News」が3日付で報じたところによると、スラビャンスクへの攻撃開始に続いて、同町の「町民の町長」を自任するヴャチェスラヴ・ポノマレフ氏は非常事態宣言を発令した。
自分のトレードマークであるトラックスーツの上着を軍人の作業服や防弾ヘルメットとベストに着替えた同町長は、女性や子どもたちに部屋の中にとどまるよう警告し、武装した地元の男性たち全員にバリケードに来て町を守るよう呼びかけた。教会の尖塔からロシアの旗がはためくと、教会の鐘が鳴って警報を合図したという。
ロシアのイタル・タス通信は2日、ウクライナ軍の対地攻撃用武装ヘリコプターがスラビャンスクで行われていた非戦闘員の大規模な集会に対して攻撃をし、軍人を含む3人が死亡したと伝えた。