STAP細胞の論文に関わる理化学研究所の調査委員会で委員長を務めていた石井俊輔・理研上席研究員が25日、委員長を辞任した。石井研究員自身が過去に出した論文における画像で入れ替えなどの加工があったのではないかとする疑義が出たためだ。新委員長には、26日から同委員会の委員である弁護士の渡部惇氏(渡部法律事務所)が就く。
理研は同日、同委員会の委員長交代を発表。「本日、石井俊輔上席研究員より、自身がかかわった研究論文に疑義が寄せられたことに鑑み、同委員会の委員長および委員としても職を辞することが適切であるとの申し出があり、研究所はこれを承認し、委員長を交代することとしました」と、理研の公式サイトで発表した。
理研は、24日に石井研究員が関係する論文に対して疑義の通報があったとしている。これにより、理研はすでに監査・コンプライアンス室で調査を開始しているという。
一方、石井研究員は25日、「調査委員会委員長辞任のお知らせ」と「お知らせ」というタイトルの2つの文書を発表。疑義については、「研究不正ではない」「不正はないと判断しています」と否定した。だが、「しかしこのような状況で、STAP細胞論文についての調査委員会の委員長の任務を継続することは、調査委員会および理研に迷惑をおかけすることになります。そこで委員長の職を辞し、調査委員会から身を引くことが賢明と判断し、委員長の職を辞することを申し出、研究所に承認して頂きました」と、辞任について説明した。
さらに、「皆様に疑念を抱かせてしまったこと、またこれにより色々なご迷惑をおかけした事を深くお詫び申し上げます」と謝罪した。
報道によると、疑義が出ているのは、英国の科学誌ネイチャーの関連誌『オンコジーン』(電子版)に2008年に掲載された論文で、乳がんと関係のあるたんぱく質についての内容。共同著者は8人で、その内、石井研究員ともう一人の2人が責任著者となっていた。