新型万能細胞「STAP細胞(刺激惹起性多能性獲得細胞)」の論文捏造疑惑を巡って、理化学研究所の調査委員会(委員長:石井俊輔・理研上席研究員)は1日、調査の最終報告を発表。調査を行った6点の内2点において、捏造(ねつぞう)や改ざんという意図的な不正が、論文の筆頭著者である小保方晴子氏(理研・研究ユニットリーダー)によって行われたと報告した。一方、他の4点については不正を認めなかった。
一方、論文に関わった若山照彦氏(山梨大教授)と笹井芳樹氏(理研・グループディレクター)については、研究上の不正はなかったとしたが、データの正当性・正確性について充分な確認をせず、論文を投稿しており、責任は重大だとした。また、丹羽仁史氏(理研・プロジェクトリーダー)については、論文作成の遅い段階で参加したとし、研究不正は認められないとした。
この調査結果を受け、小保方氏は「驚きと憤りの気持ちでいっぱいです。特に、研究不正と認定された2点については、理化学研究所の規程で『研究不正』の対象外となる『悪意のない間違い』であるにもかかわらず、改ざん、ねつ造と決めつけられたことは、とても承服できません」とするコメントを発表。近く理研に不服申し立てをするとした。
以下、小保方氏のコメント全文。
調査報告書に対するコメント
平成26年4月1日
小保方晴子
調査委員会の調査報告書(3月31日付け)を受け取りました。驚きと憤りの気持ちでいっぱいです。特に、研究不正と認定された2点については、理化学研究所の規程で「研究不正」の対象外となる「悪意のない間違い」であるにもかかわらず、改ざん、ねつ造と決めつけられたことは、とても承服できません。近日中に、理化学研究所に不服申立をします。
このままでは、あたかもSTAP細胞の発見自体がねつ造であると誤解されかねず、到底容認できません。
(1-2)レーン3の挿入について
Figure1i から得られる結果は、元データをそのまま掲載した場合に得られる結果と何も変わりません。そもそも、改ざんをするメリットは何もなく、改ざんの意図を持って、Figure1i を作成する必要は全くありませんでした。見やすい写真を示したいという考えから Figure1i を掲載したにすぎません。
(1-5)画像取り違えについて
私は、論文1に掲載した画像が、酸処理による実験で得られた真正な画像であると認識して掲載したもので、単純なミスであり、不正の目的も悪意もありませんでした。
真正な画像データが存在していることは中間報告書でも認められています。したがって、画像データをねつ造する必要はありません。
そもそも、この画像取り違えについては、外部から一切指摘のない時点で、私が自ら点検する中でミスを発見し、ネイチャーと調査委員会に報告したものです。
なお、上記2点を含め、論文中の不適切な記載と画像については、すでにすべて訂正を行い、平成26年3月9日、執筆者全員から、ネイチャーに対して訂正論文を提出しています。
以上