7日に下院総選挙が始まった世界最大の代表制民主主義国・インド。「ザ・タイムズ・オブ・インディア」など同国の有力紙による報道では、ヒンズー至上主義を掲げるインド人民党のナレンドラ・モディ氏が次期首相の有力候補と伝えられている。
そんな中、インド教会協議会(NCCI)は、英文の公式ウェブサイトで声明文を発表。「今年の総選挙は私たちの国の暮らしにとって非常に重大だと考えられます。世間での議論はグローバル化、開発、腐敗、共同体主義、世俗主義などの問題に焦点が当てられてきました」として、「クリスチャンとして、私たちもこの選挙で責任ある役割を果たすよう招かれているのです」と、責任ある投票を呼びかけた。
インド中西部のナーグプルにある同協議会のロジャー・ゲイクワド総幹事は、「私たちにとって重要な取り組むべき問題」として、1)(インドのカースト制度で「不可触民」とされる)ダリットのクリスチャンの権利についての憲法上の支援、2)反改宗法を廃止すること、3)少数者の権利の是認と保護、4)部族の権利やアイデンティティの尊重、5)反腐敗法の強化と実施、6)共同体に対する暴力防止法案の可決、7)インドのクリスチャンが置かれている社会経済的状態の研究を請け負うこと、8)議会の議席のうち33%を女性のために確保すること、の8つを挙げている。
「上記の問題を理解してくれる政党や指導者を探し、カーストや信条・人種に関わらず平和的共存と国民全層のための実際的方法や手段に取り組みましょう。私たちは人々の嫌悪や分断の上で繁栄する人たちを強く拒絶すべきです。社会と経済の両方において正義を切望するとともに国民の間で増大している不釣合いを減らす政策を追求し、全ての人々の福祉を確実にする政党や指導者を選びましょう」と、グイクワド総幹事は呼びかけている。
グイクワド総幹事はまた、「私たちの選択によって、(宗教)共同体(至上)主義や腐敗した勢力を一掃する道を開き、憲法にある全ての価値、とりわけ私たちの信仰とキリスト教的な方法や実践を守る世俗的理想を反映させましょう」と述べた。「私たち一人ひとりが自らの票を行使する時間を必ず取るようにしましょう。これは私たちの権利なのですから」
ヒンドゥー教徒が多数派を占め、言語も多様なインドで、クリスチャンを含む少数者の権利を尊重しようという同協議会の呼びかけが、どのような意味を持つのか。同協議会によると、この声明文の基になった「全国合同クリスチャンフォーラム(NUCF)」の声明文のタイトルは、「多数派の展望をもつ少数者」だという。