最近出た年度末報告によると、アメリカのメガチャーチ運動は廃れていない。46の州で平均2000人が出席し、その数はむしろますます増えているという。
「毎年メガチャーチは数も規模も大きくなっていて、その年に最大の教会は、前年に最大だった教会よりも規模が大きくなっています」と米クリスチャンポスト紙に語ったのは、リーダーシップ・ネットワークの研究・知的資本開発部長、ウォーレン・バード氏だ。
メガチャーチは性質としてプロテスタント的な傾向が強く、定義としては2000人以上の信者が集う教会のことを指す。アメリカでは、2000人を遥かに超える信者数を誇る教会がいくつもあり、カリフォルニア州レイクフォレスト市に拠点を置くリック・ウォレン牧師のサドルバック教会や、ヒューストン市にあるジョエル・オスティーン牧師のレイクウッド教会などが挙げられる。バード氏によれば、アメリカには現在1650のメガチャーチが存在し、その多くは若者を多数惹きつけているという。
「メガチャーチで働く牧師の多くは40歳以下です。ですから、メガチャーチはベビーブーム世代の産物だという考えは間違いなのです。若手主導のメガチャーチは確かに他とは違いますがね」とバード氏。「若手主導の場合は、施設もあまり派手なものにはしませんし、堅苦しくなく、地元コミュニティに積極的に関わろうという熱意がより強いですね」と言う。
今日のメガチャーチの主任牧師の平均年齢は55歳だが、バード氏の分析では5パーセントが40歳以下だという。その例が、ニューヨーク市のヒルソング教会を率いる34歳のカール・レンツ牧師だ。レンツ牧師は、若く、都会的で、慣習に捕らわれない5000人の信者が集う教会で、ニューヨーク市のペンテコステ運動の火付け役となった。その地に足のついた人柄とセレブも惹きつける魅力のおかげで、レンツ牧師は典型的な「40歳以下の、堅苦しくない」牧師として教会の第一線に立つことになった。
また別の比較的若手が率いるメガチャーチとしては、33歳のスティーブン・ファーティック牧師率いるエレベーション教会が挙げられる。1万4000人の信者数を誇り、ノースカロライナ州全体に広い敷地のキャンパスをいくつか有している。最年少のメガチャーチ主任牧師は、テキサス州エクスペリエンスライフ教会の31歳のクリス・ガラノスだ。彼は25歳で330人の信者と共に宣教活動を始め、現在は3500人以上の信者を率いている。
さらにバード氏の分析によれば、教会に通うプロテスタント信者の約10パーセントがメガチャーチの礼拝に出席しているが、これらメガチャーチ自体は、アメリカ国内に存在する約32万のキリスト教会の内0.5パーセント程度を占めるに過ぎない。
メガチャーチの特徴はその大きさだが、全てのメガチャーチに共通するもう1つの特徴は、神学的に保守的な立場を固守している点であり、ほとんどは福音派とみなされる。南部バプテスト派、統一メソジスト派、福音ルーテル派など、プロテスタントの宗派ほとんど全てに、少なくとも1つのメガチャーチが存在する、とバード氏は指摘する。フォースクェア教団、クリスチャン・アンド・ミッショナリー・アライアンス、ナザレン教団など、規模が小さめの宗派もメガチャーチを設立している。
「南部バプテスト派に属するサドルバック教会や、福音派契約教会に属するライフチャーチなど、特定の宗派に属するメガチャーチでも宗派とのつながりは軽く捉えています」とバード氏。「レイクウッド、ウィロークリーク、ノースポイント、ポッターズハウスなど、多くのメガチャーチは無宗派です」と続ける。
主任牧師が若い教会の多くは、設立されて10年以内の教会だが、アメリカにあるメガチャーチの21パーセントは20年以上前に設立されたものだとバード氏は言う。さらに、現在あるメガチャーチの牧師たちの79パーセントは、最も劇的な増加を記録した時代に教会を率いてきた牧師たちだという。
リーダーシップ・ネットワークによると、南カリフォルニアにあるクリスタルカテドラルが全米最初のメガチャーチと紹介されることがあるが、実はこの教会は1955年に設立された後15年経つまでは2000人の信者数に至らなかった。他には、1950年代後半に5000人以上の出席者を誇ったオハイオ州のカテドラル・オブ・トゥモローが最初のメガチャーチだとする場合もある。