自由市場を批難するメッセージを伝えたことで、米保守派指導者らから「マルクス主義者ではないか」との批判を受けていたローマ教皇フランシスコは、公式に自身の立場として「マルクス主義者ではない」ことを明らかにした。15日、米クリスチャンポスト(CP)が報じた。
今年11月以降、フランシスコ教皇は貧困問題について「市場や金融投機活動の絶対的自律性を拒絶し、不平等の構造的問題にメスを入れるのではない限り、貧困問題やその他世界で生じている諸問題の解決は導かれない」との文書を発表した。
これに対し、米保守派ラジオ番組のホストであるラッシュ・リムボフ氏は、「これは純粋なマルクス主義の考え方です。足かせが取れた資本主義というのはどこにも存在していません。足かせが取れた、規制のない、という表現の仕方は、リベラルな社会主義者がアメリカに対して述べる際に使われる言葉に過ぎません」と発言していた。
フランシスコ教皇の経済問題に対する見解についてリムボフ氏は、「全く見解が間違っています。社会主義やマルクス主義というものは、人々の活動を制限します。人々が人類として発揮しうるポテンシャルが発揮される機会を奪ってしまいます」と批判していた。
フランシスコ教皇は14日、伊ラ・スタンパ紙とのインタビューを通して「マルクス主義の概念は間違っています。しかし私は人生を通して多くの良心あるマルクス主義者とも出会ってきました」と語り、マルクス主義が正しいと思っているわけではないことを明らかにした。
その上で224ページにわたる「使徒的勧告」の中でフランシスコ教皇は、「『殺してはならない』との命令にあるように、人類のいのちを尊び、守っていくためには(経済活動の上で)明確な限度が必要です。今日において私たちはまた排他的な経済活動、不平等な経済活動は人を殺すことにつながることを言わなければなりません」と伝えている。
同文書の中でフランシスコ教皇は、「自由市場の恩恵による経済成長のためには、トリクルダウン理論による経済活動を継続していくべきだと主張する人々もいらっしゃいますが、このような考えは今まで一度も実際に(真実であったと)確証されたことはありません。経済的な力のある人たちの良心に対する大雑把で楽観的な信頼によって、また現在蔓延している経済システムの神聖化された働きによって、(上手く働くと)考えられているものです。しかし実際には経済活動が排他的になる可能性は未だに存在しています」と語る。
フランシスコ教皇は初めてローマ教皇としてメディアの前で演説を行った際、「カトリックの中心は教皇にあるのではなく、イエスにある」と語っており、今回の伊ラ・スタンパ紙とのインタビューではクリスマスについても言及。ローマ教皇となって初めて迎えるクリスマスについて、「クリスマスは神がそのお造りになられた人々に会うときです。それは慰め、慰めの神秘でもあります。夜明けのクリスマスミサがなされる前、チャペルで1時間ほど1人で黙そうする時を持ってきました。(クリスマスミサには)慰めと平和を深く感じていました」と語った。