【CJC=東京】2014年度「世界平和の日」に向けた教皇フランシスコのメッセージが12日、バチカン(ローマ教皇庁)から発表された。カトリック教会は、毎年1月1日を世界平和の日とし、戦争や分裂、憎しみや飢餓などのない平和な世界が来るように祈る。
バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇フランシスコにとって初めてとなる世界平和の日のメッセージのテーマは、「平和の基礎、道としての兄弟愛」(仮訳)。
全10章からなるメッセージを通して、教皇は「兄弟愛」のないところに正しい社会と永続的平和を築くことはできないと説くと共に、暴力と死をもたらす者たちに武器を捨てるようアピールしている。
教皇は「兄弟愛」を人間の本質的側面として示しながら、人間同士の真の兄弟愛には超越的な父性、すなわち神の父性が必要であると指摘。
兄弟愛への召命については、「無関心のグローバル化」によって脅かされ、その無関心は人々を他人の苦しみに慣れさせ、自分の殻の中に閉じこもらせようとしていると警告している。
今日の経済危機については、人間が神から遠ざかり、物質的な富の飽くなき追求に走った結果であり、また人と人、共同体関係の疲弊に原因するものと明言。この危機を経済発展モデルを再考し、生活スタイルを見直すきっかけとするよう勧めている。
さらに教皇は「兄弟愛は戦争の火を消す」とし、武力闘争を止め、相手と向き合い、双方に正義・信頼・希望を育てるために、対話・赦し・和解の道をとるよう招いている。そして、ただ敵であると思っている相手が、自分の兄弟であることを発見し、上げた手を下ろすよう説いている。同時に教皇は、核兵器・化学兵器をはじめ、あらゆる方面での軍縮を願っている。
加えて、様々な形の社会的腐敗、組織的犯罪に見られるエゴイズムを非難しつつ、これらは神を冒涜し、兄弟を苦しめ、被造物を破壊するものと述べている。そして、今日の悲劇として、麻薬や、搾取的労働、人身売買、未成年虐待、受刑者らの劣悪な環境などにも言及している。
最後に教皇は、兄弟愛が自然を守り育てることに貢献すると説き、強欲や支配的な傲慢をもって自然を扱わず、自然を無償の贈り物として大切にし、それを兄弟への奉仕に役立てるよう呼びかけている。