アリマタヤのヨセフ
ルカの福音書23章50~56節前半
[1]序
今回は、ルカの福音書23章50節から56節前半の記事から、主イエスの葬りにかかわった、アリマタヤのヨセフについて見ていきます。
ヨセフと言えば、旧約聖書に登場するエジプトで活躍した、あのヨセフ。
またヨセフとマリヤのヨセフを思い出します。二人ともそれぞれ、興味深い歩みをしております。この二人に比較すると地味な存在と言えるでしょうが、アリマタヤのヨセフもやはり彼らしく印象的な歩みをなしています。
[2]ヨセフ、どのような人で何をなしたか
(1)どのような人か。
①アリマタヤ(エルサレムの北東10キロ)の出身。
②議員のひとり。
③りっばな、正しい人で神の国を待ち望む人。
参照バプテスマのヨハネの両親・ザカリヤとエリサベツ、「ふたりとも、神の御前に正しく、主のすべての戒めと定めを落度なく踏み行なっていた」(ルカ1章6節)。
幼子イエスを神殿で迎えた、老シメオン、「この人は正しい、敬虔な人で、イスラエルの慰められることを待ち望んでいた。聖霊が彼の上にとどまっておられた」(ルカ2章25節)。
(2)何をなしたか。
①「この人は議員たちの計画や行動には同意しなかった」(51節)。しなかったことも大切。
②「この人が、ピラトのところに行って、イエスのからだの下げ渡しを願った」(52節)。
③「それから、イエスを取り降ろして、亜麻布で包み、そして、まだだれをも葬ったことのない、岩に掘られた墓にイエスを納めた」(53節)。
[3]主イエスの葬り
主イエスの十字架、葬り、復活。
(1)Ⅰコリント15章4節
「また、葬られたこと、また、聖書の示すとおりに、三日目によみがえられたこと」
(2)使徒信條
「葬られ、陰府に下り、三日目に死人の内よりよみがえり」
[4]結び
アリマタヤのヨセフの生活・生涯の歩み。
主イエスに対する裁判、十字架と葬りにおいて、彼のなし得なかったこと、彼がなしたこと。私たちもそれぞれの場での役割について。
宮村武夫(みやむら・たけお)
1939年東京生まれ。日本クリスチャン・カレッジ、ゴードン神学院、ハーバード大学(新約聖書学)、上智大学神学部修了(組織神学)。現在、日本センド派遣会総主事。
主な著訳書に、編著『存在の喜び―もみの木の十年』真文舎、『申命記 新聖書講解シリーズ旧約4』、『コリント人への手紙 第一 新聖書注解 新約2』、『テサロニケ人への手紙 第一、二 新聖書注解 新約3』、『ガラテヤ人への手紙 新実用聖書注解』以上いのちのことば社、F・F・ブルース『ヘブル人への手紙』聖書図書刊行会、他。