イエスは、女たちのほうに向いて
ルカの福音書23章27~31節
[1]「イエスは、女たちのほうに向いて」
(1)27節
民衆、その中でも特に女たちの主イエスに対する態度について。
(2)「イエスは、女たちのほうに向いて」
ルカは、主イエスが振り向かれた人々がどのような人々か、また主イエスがその人々にどのように語られたか繰り返し(7章9、44節、9章55節、10章23節、14章25節、22章61節、23章28節)明らかにしている事実が目を引きます。あたかも、テオピロ(ルカ1章3節)、主イエスはあなたに振り向いて、このように語っておられると念を押すように。
例えば22章61節では、ペテロに対して、「主が振り向いてペテロを見つめられた。ペテロは、『きょう、鶏がなくまでに、あなたは、三度わたしを知らないと言う』と言われた主のおことばを思い出した」とあります。
(3)この最後の例23章28節では、「むしろ自分自身と、自分の子どもたちのことのために泣きなさい」と、エルサレムの婦人たちに悔い改めを呼び掛けています。
[2]悔い改めを呼び掛ける理由
(1)29節
「なぜなら人々が、『不妊の女、子を産んだことのない胎、飲ませたことのない乳房は、幸いだ』と言う日が来るのですから」。エルサレムの破壊に直面する、子を持つ母の悲しみを強調して。
(2)ホセア10章8節
「・・・彼らは山々に向かって、
『私たちをおおえ』と言い、
丘に向かって、
『私たちの上に落ちかかれ』と言おう」
を引用し、神の裁きの厳しさを示す(黙示録6章16節参照)。
(3)生木と枯れ木の比較(31節)
主イエスご自身の十字架とエルサレムが経験する裁きの比較。
[3]結び
主イエスが悔い改めを呼び掛けられている事実。その背後に、23章34節の祈り。
「そのとき、イエスはこう言われた。『父よ。彼らをお赦しください。彼らは、何をしているのか自分でわからないのです。』彼らは、くじを引いて、イエスの着物を分けた」
宮村武夫(みやむら・たけお)
1939年東京生まれ。日本クリスチャン・カレッジ、ゴードン神学院、ハーバード大学(新約聖書学)、上智大学神学部修了(組織神学)。現在、日本センド派遣会総主事。
主な著訳書に、編著『存在の喜び―もみの木の十年』真文舎、『申命記 新聖書講解シリーズ旧約4』、『コリント人への手紙 第一 新聖書注解 新約2』、『テサロニケ人への手紙 第一、二 新聖書注解 新約3』、『ガラテヤ人への手紙 新実用聖書注解』以上いのちのことば社、F・F・ブルース『ヘブル人への手紙』聖書図書刊行会、他。