今年は、韓国で延べ3千人もの孤児を育て、「韓国孤児の母」と呼ばれた日本人女性、田内千鶴子(1912~68、韓国名:尹鶴子)の生誕100年にあたる。「孤児の少ない社会を」と祈った田内の思いを受け、国連「世界孤児の日(World Orphans Day)」制定をめざす記念大会が、10月末に韓国で開かれる。大会に先立ち、今年5月に発足した「田内千鶴子生誕100周年記念事業会」は、国連「世界孤児の日」制定推進運動のキャンペーンソングの詩を募集している。
田内は高知県出身。熱心なクリスチャンだった母ハルの影響を受けてクリスチャンになった。7歳で朝鮮総督府の官史であった父の赴任地、木浦に渡り、24歳で日本語と音楽の教師として孤児院「木浦共生園」での奉仕を開始。その後、園長の尹致浩と結婚するが、朝鮮戦争のさなかに食料調達に出かけたまま、園長は帰らぬ人に。反日感情の渦巻く韓国で、女手一つで孤児たちを養った。63年には大韓民国文化勲章国民賞を受賞。65年には第1回木浦市市民賞を受賞し、名誉市民に。67年には日本政府より藍綬褒章を受章した。木浦市は田内のために初の市民葬を行い、3万人もの弔問者が参列し、その死を悼んだ。
今回募集する詩のテーマは、「子どもの夢」「未来への希望」。詩には曲がつけられ、キャンペーンソングとして起用される。大賞受賞者は10月の大会に招待され、賞状と記念品が贈られる。
応募の締め切りは9月20日まで。グループでも応募できる。作品の応募、問い合わせ先は、田内千鶴子生誕100周年記念事業会・国連「孤児の日」推定推進キャンペーンソング募集係(〒590-0142大阪府堺市南区檜尾3360-12社会福祉法人こころの家族内、電話:072・271・0881、ファックス:072・271・5474、担当:水野)まで。
大会は10月29日から31日までの3日間、韓国ソウル市と木浦市で開かれる。記念式典のほか、国連「世界孤児の日」制定推進の意義をテーマにした学術会議や、日韓のクリスチャンが孤児問題について話し合う集会、木浦市と日本の合唱団らが共演するコンサートなどが企画されている。最終日には、国連「世界孤児の日」制定推進宣言大会が開かれる。詳しくはホームページ(http://www.chizuko100th.com/)。