8日、日本聖公会聖バルナバ教会(東京都新宿区)で、ドイツミュンヘン大学「神学とエキュメニカル研究所」所長のグンター・ベンツ氏による「洗礼は一つ、エキュメニカル聖礼典(秘蹟)としての洗礼について」と題した特別講演会がなされた。
ルター派のドイツ神学者パネンベルクの後任と言われるグンター・ベンツ氏は、2000年にルーテル教会とローマ・カトリック教会間に交わされた合議文書作成に貢献した他、多数の著書を有している。同講演会では「洗礼」と「御言葉、礼典」、「洗礼と聖さんの関係」、「エキュメニカルな礼典としての洗礼」について説明がなされた。
~洗礼は人間存在の不確かさに対する答え~
ベンツ氏はキリスト教会で行われる洗礼について、「不確かな存在である人間の出身、現在、そして未来の拠り所が神にあり、神が聖霊によって永遠から永遠にわたってあなたを覚え、イエス・キリストにあるあなたの生涯を永遠に記念するよう、神ご自身の中に定められました。洗礼は、キリスト教徒のアイデンティティを示す根本的で有効なしるしであり、このしるしは私たちの名前が天に書き記されているということを確信させるものです」と説明した。
また聖書の御言葉と礼典について、「救いの手段としての御言葉と礼典は区別すべきではありますが、しかし分離してはなりません。礼典では、言葉による告知(宣教)が、言葉ではない感覚的なしるしによる告知と結びついています」と説明した。
洗礼と聖さんという古代から行われてきた主要な礼典について、ベンツ氏は、「洗礼の執行は二度と繰り返されないが、聖さんは繰り返され、絶えず祝われます。洗礼は、他人と取り違うことのない、まったく一度限りの個人的人格である私たちと関係があります」とする一方、「聖さんは信仰者の公の交わりの手段であり、またしるしです」と説明した。
また洗礼と聖さんは区別はするべきであっても分離してはならないものであり、「『祭壇の交わり』としての聖さんでは、キリストの身体と血がパンとぶどう酒という形でもって、極めて個人的な対応で与えられるように、個人的に執り行われる洗礼は、人々を同時に教会という『キリストの体の交わり』の中にはっきりと招き入れます。洗礼と聖さんは、教会を特徴づける『個人性』と『公の交わり』という根源的特質をどちらも同じように示しています」と説明した。
~水の洗礼の意味~
また洗礼が水によって授けられることについて、「水の洗礼は、キリストのご委託と約束に従って父・御子・聖霊の神の名で行われることで、キリスト教の意味を獲得します。その意味とは、復活された十字架のイエスにおいて、神が現臨されたように、受洗者を三位一体の神の臨在の中へ向かわせることであり、洗礼において神の啓示は、根本的に『創造者』、『和解者』、『完成者』として私たちのもとに来られます」と説明した。
「創造者」としての神は、全権をもって、人の子たちが、被造物の定めである天の父の息子、娘であることを思い起こされ、「和解者」としての神は、悪と悪事の誤りを暴き、罪を贖い、古い人間が滅ぼされ、新しく生まれ変わった人間が姿を現すようにさせ、「完成者」としての神は、私たちをして神の国の終末論的未来に希望を抱かせるという。
次ページはこちら「幼児洗礼をどう受け止めるべきか?」
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