また戦後の日本の経済回復と、震災を照らし合わせ、「神様に悪いことをも良いことに変えていただくように祈りましょう。第二次世界大戦後にも日本は苦しい体験を乗り越えてきました。当時の日本で不可能と思えることがなされ、素晴らしい日本へと戦後に変えられていきました。そのような変化を物質面だけではなく、霊的にも体験していく日本となるように願いたいと思います。神様の補聴器に私たちの補聴器を合わせ、悪いものから新しいものを作り出していくことができますように願います」と述べた。
会場に集った日本のキリスト者らに対し「『私たちの主イエス・キリストの父なる神、慈愛の父、すべての慰めの神がほめたたえられますように(Ⅰコリント1・3)』とありますが、神はどのような苦しみの時にも私たちを慰めて下さるお方です。そして自分自身が神から受ける慰めによって、どのような苦しみの中にいる人をも慰めることができるのです。どんなに日本の教会が小さくとも、本当に神様の慰めを与えることができるクリスチャンとなっていただきたいと思います。聖書では『私たちはキリストの体である』ことが書かれてあります。私たちの周りの人たちが、神様を知る唯一の方法は、私たちクリスチャンが、どのようにこの地上で行動するかということにあります。苦しみ悩むときこそ、本当に神様は慰めの神様であることを知らせる最高の機会であり、これに本当に私たちが敏感に反応していかなければなりません」と述べた。
詩篇46篇には「神はわれらの避け所、また力。苦しむとき、そこにある助け。それゆえ、われらは恐れない。たとい、地は変わり山々が海のま中に移ろうとも。たとい、その水が立ち騒ぎ、あわだっても、その水かさが増して山々が揺れ動いても」と書かれてある。
~からだの一番弱い所の痛みを感じることができることが大事~
ヤンシー氏は、「神様は日本の事をいつも考えて下さっておられる神様であり、世界の人たちも日本の事を考えています。健全なからだは一番弱っている部分を感じることができます。痛みを感じなければ、それはとても危険なことです。痛みを感じるから、医者にかかります。健全な体は、痛みを感じない体ではなく、一番弱い所の痛みを感じることができる体です」と伝え、ローマ書8章28節を引用し、「神様はすべての事を働かせて益としてくださることを、私たちは知っています。大変な災害をも良いことに変えて下さることができるお方が神様です。神様が共におられることを、静かに祈って知ることが私たちに必要です」と述べた。
また復活祭について「この地上で、イエス様が十字架にかかられたことは悪い事でしたが、クリスチャンは毎日このことを覚えて生活しています。そして英語ではイエス様が十字架にかかられた金曜日を『悪い金曜日』ではなく『グッドフライデー』と呼んでいます。それと同様にこの地上で災害と思われるものを神様は良いものに変えて下さることができるお方です。イエス様は、十字架刑の最後に、この世を克服したことを宣言されました。ゲツセマネの祈りでは『この杯を取りのけて下さい』と祈られましたが、最終的に信仰によって十字架刑を耐えられました。そして永遠に永遠な方となられました」と伝えた。
~神様はどんなものでも新しくしてくださる~
震災後の日本について、「神様はどんなものでも新しくしてくださいます。さまざまな惨事の中から、何か良いものを生み出してくださることのできるお方です。信仰とは、将来どうなるかわからなくとも、今あることを本当に信じて歩むことをいいます。どうして起こったのかわからないことがたくさんありますが、そのような中にあっても悪いものを良いものに変えて下さるリサイクルのマスターであられる神様が共におられるということが、私たちクリスチャンの究極的な恵みといえるのではないでしょうか」と述べ、日本でどんなに教会が小さく、クリスチャンが少ないとしても、クリスチャンが世の光となり、「からだの一番弱いところの痛み」を感じ、貧しい人に仕えていく生を実践していくことが大切であると呼び掛けた。
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フィリップ・ヤンシー氏 略歴
米コロンビア・バイブル・カレッジ卒業。穂イートン・カレッジ大学院でコミュニケーション学と英語学の学位を取得。『クリスチャニティ・トゥデイ』誌編集顧問、同社出版物『ブックス・アンド・カルチャー』の共同編集長を務める。著書に、『見えない神を探し求めて』『思いがけないところにおられる神』『神に失望したとき』などがある。