日本の教会が教派を超えて震災復興を祈る「東日本大震災3・11復興支援超教派一致祈祷会」が11日、東京都内で開かれ、青山学院院長で前日本基督教団総会議長の山北宣久氏が講演した。山北氏は、イエス誕生直後のヘロデ王による幼児虐殺に触れ、「慰められることもいとうような悲しみがイエスの誕生に結びついていく」と語り、「2011年のクリスマス、多くの悲惨が東北の地にある中で、(国難の悲しみは)イエス・キリストの十字架と復活につながる」と説いた。
この祈祷会は、2009年の日本プロテスタント宣教150周年記念大会の実行委員らが呼び掛け、毎月11日に開いている。この日は、淀橋教会主管牧師の峯野龍弘氏や大和カルバリーチャペル主任牧師の大川従道氏、日本福音同盟(JEA)東日本大震災対策室長の中台孝雄氏ら祈祷会の呼び掛け人をはじめ、教派を超えて教職や信徒ら約50人が集まった。
講演で山北氏は、遠藤周作がイエスを「人生の同伴者」と紹介したことに触れ、「神の子が私たちの生と死に伴ってくださる。この『伴』があってこそ、『絆(きずな)』がほどけないで保たれる」と説いた。また、イエスの誕生した家畜小屋について「とても神なんかおられないという状況」で、現代社会の「雛型」だと説き、「到底神がいると思えない、そこにこそインマヌエルなる神がお生まれになった」と強調した。
山北氏は、ヘロデ王による幼児虐殺の記事で引用されているエレミヤの預言について、「慰めを拒む」(エレミヤ31・15)ほどの悲しみが、独り子なるイエスを犠牲にした「父なる神の心そのもの」と説いた。さらに、日本の年間自殺者が13年連続で3万人を超えていることに触れ、「(自殺の)背後に慰められることさえいとう悲しみが満ちている」と強調。「この世に満ちる悲惨は、イエスに結びつくとき、深い証しになる」と語った。
最後に山北氏は、「泣きやむがよい」(エレミヤ31・16)とのエレミヤの預言を強調し、「イエスの十字架と復活が成就することを知るとき、(福音の)メッセンジャーとして残る生涯を歩ませていただきたい」と語った。
参加者は、苦悩する被災地の人々にクリスマスの喜びが伝えられるよう祈るとともに、復興作業の早期進展や原発事故の復旧などの具体的な祈祷課題を挙げて被災地復興のために祈りをささげた。
次回の祈祷会は、来年1月11日午後7時から東京都新宿区百人町1-17-8の淀橋教会で開かれる。講師は、福島県いわき市のグローバルミッションチャペル(平キリスト福音教会)牧師の森章氏。2月11日はいわて教会ネットワーク事務局で北上聖書バプテスト教会牧師の佐々木真輝氏、3月11日は福島第一バプテスト教会牧師の佐藤彰氏の講演を予定している。