違法な勧誘行為で多額の献金をさせられたとして熊本市の主婦(75)が、世界基督教統一神霊協会(統一協会)、その関連会社、および一部の信者を相手取り、約4900万円の損害賠償を求めていた訴訟で、東京地裁は29日の判決で、総額約4400万円の支払いを命じた。
判決では、病気や先祖の恨みなどを強調し、不安・恐怖心を助長する勧誘行為は違法であるとして、統一協会は違法な勧誘を行った信者に対する使用者責任があるとした。判決によれば、主婦は94年から03年までの間に、統一協会のいわゆる霊感商法によって、約3600万円の支払いをしている。
全国霊感商法対策弁護士連絡会が同弁連所属の弁護士および各地の消費者センターに問い合わせがあった統一協会に関する相談を集計したものを18日に発表したところでは、統一協会による霊感商法の被害相談は昨年だけで約1300件あり、被害総額も約40億円に上る。
統一協会を巡る裁判は1986年の初提訴以来100件を超え、今年1月には福岡県内の女性が統一協会を相手に約1億8000万円の損害賠償を求める訴訟を福岡地裁で起こしている。