世界教会協議会(WCC)のサムエル・コビア総幹事は16〜19日、エリトリアの首都アスマラを訪問し、同国のアフェウェルキ大統領、教会指導者らと対談した。コビア総幹事は、エチオピアとの国境争いや信教の自由の侵害等で問題を抱える同国の平和と和解に協力する意向を示した。WCCの発表で28日までに分かった。
コビア総幹事は、エリトリアの仲介によりダルフール紛争の中、東部前線反乱軍との間に東部スーダン和平合意が結ばれた点を評価したうえで、エチオピアとの国境問題について言及し、平和的解決を求めるなど戦闘回避を改めて強調した。WCCによれば、大統領は、エリトリアの和平プロセスにおいてWCCのより深い関与を求めたという。
さらにコビア総幹事は、エリトリア福音教会のアスファ・メハリ理事長や、アスマラのカトリック教会のアバ・テクレマイケル・テワルデ事務局長とも面会し、ノルウェー教会援助(Norwegian Church Aid、NCA)、オランダ諸教派援助(Dutch Interchurch Aid、DIA)、ルーテル世界連盟(LWF)の同国各代表らと面会した。
またコビア総幹事は、同国で唯一WCCに加盟しているエリトリア正教会の指導者らとも、アスマラの同教会本部で短い対談の時間をもった。
エリトリア正教会のアントニオス総主教は昨年1月、政府の教会活動への干渉や福音主義教会への迫害を非難したことを理由に排斥され、現在は軟禁状態にある。また最近任命された新総主教は政府と深い関係にあり、福音主義教会が懸念を表明している。
エリトリアは世界でも最も信教の自由が侵害されている国とされており、現在2千人近いキリスト教徒が裁判も行われず、無期限の監禁状態にあるといわれている。
米国務省は、エリトリアを3年連続で信教の自由が著しく侵害されている国として、「特に懸念される国(CPC)」に指定している。さらに、米国国際宗教自由委員会(USCIRF)は、同省に対してエリトリアのCPC指定継続を求めている。