【CJC=東京】教皇ベネディクト16世が主宰して世界の宗教者代表が平和を祈り、諸宗教の対話を目指す会議が10月27日、イタリア中部アッシジで開かれた。「宗教者サミット」とも呼ばれる会合は、1986年に当時の教皇ヨハネ・パウロ2世の呼び掛けで初めて実現したが、それ以来の開催となった。
会議には世界50カ国以上からキリスト教指導者だけでなくイスラム教徒、ヒンズー教徒、仏教徒、ユダヤ教徒、シーク教徒、神道、道教、ジャイナ教、ゾロアスター教の代表、アフリカの民俗信仰者、無神論者、不可知論者も参加した。日本からは神道や仏教の関係者らも出席した。ただダライ・ラマやマザー・テレサといった著名人の顔は少なかった。
キリスト教では、世界教会協議会のオラフ・フィクセ=トゥヴェイト総幹事、正教会エキュメニカル総主教バルソロメオス1世始めギリシャ、ロシア、ルーマニア、セルビア、ベラルーシの各正教会、ルーテル派、メソジスト、バプテスト、長老派などが参加した。
バチカン(ローマ教皇庁)正義と平和評議会議長のピーター・コドヴォ・アピア・タークソン枢機卿は、「わたしたちは、善に対する宗教の偉大な力を証しするために、また平和を作り出し、紛争の当事者を和解させ、人々を創造との調和に立ち帰らせるという共通のコミットメントを新たにするため、ここに来た」と挨拶した。続いて、バルソロメオス1世総主教、世界教会協議会のオラフ・フィクセ=トゥヴェイト総幹事、英国国教会の霊的最高指導者ローワン・ウイリアムス・カンタベリー大主教、イスラエルのダヴィド・ロゼン首席ラビ、さらにイスラム教、仏教、ヒンズー教、ヨルバ信仰の代表らが演説した。さらに信仰者と不信仰者との生産的な対話のために教皇に招かれたブルガリア生まれのフランスの作家ジュリア・クリステヴァ氏が演説した。
世界教会協議会のオラフ・フィクセ=トゥヴェイト総幹事は「フランシスコが神に献身したのは若い時だった。今日、多くの国で民主化と平和に向かって若者がリードしているのを見ると、わたしたちは、必要な変革に対して若者のビジョンと勇気を必要としている」と語った。
教皇は、会議参加者を歓迎し、宗教を理由に戦争やテロが行われてきたと指摘、「ただそれは宗教の本質ではない」と強調した。教皇は、キリスト教信仰が武力行使に利用されたことがあったことも認め、それは「大きな恥辱」と語った。
教皇は、最初のアッシジ会合を冷戦の厳しい緊張の中にあったもの、と想起した。3年後、ベルリンの壁は崩壊、共産主義帝国は平和裏に解体した。「この自由の勝利、それはまた、何よりも平和の勝利であり、わたしたちが感謝する」と教皇は語った。
教皇は、世界は今、二つの大きな形で暴力という脅威にさらされている、と語った。第一はテロリズムで、教皇はその「無謀な行為」と決め付け、それが宗教信仰を利用していることを非難した。第二は、人間の視界から神を消去しようとしていることだ、と教皇は指摘した。「神の否定は、限りない狂気と暴力につながる」と、それをまざまざと描き出すものとして強制収容所の例を取り上げた。
教皇は同日、バチカン市国内の駅から汽車でアッシジに到着した。イタリアのテレビは、会場に集まる参加者を見ようと押し掛けた群集を映し出した。
クリスチャントゥデイからのお願い
皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。
人気記事ランキング
-
ホロコースト救助者たちの信仰、ユダヤ人の命を救うために行動したクリスチャンたち
-
欧州で広がる反キリスト教ヘイトクライム、年間2400件超発生
-
説教でトランプ米大統領に不法移民らへの「慈悲」求めた聖公会主教、説教の意図語る
-
シリア語の世界(16)子音文字と発音、母音について 川口一彦
-
堕落とは人生の深掘りである(その2) マルコ福音書12章13~17節
-
本能の中で滅びる 岡田昌弘
-
旧約聖書学者の大島力氏死去、71歳 青山学院大学名誉教授
-
無料オンライン講座「キリストの基礎知識コース」第9期受講者募集 2月15日開講
-
家族をも救いに導く神の御業 万代栄嗣
-
「サタン」が聖書を読む理由 ウクライナの最前線から
-
説教でトランプ米大統領に不法移民らへの「慈悲」求めた聖公会主教、説教の意図語る
-
「サタン」が聖書を読む理由 ウクライナの最前線から
-
「文学的原体験は聖書」 大学院生の鈴木結生さんが芥川賞受賞 父は牧師、教会で育つ
-
トランプ米大統領の就任式で大衆伝道者のグラハム氏らが祈り、神の導きと守り求める
-
欧州で広がる反キリスト教ヘイトクライム、年間2400件超発生
-
旧約聖書学者の大島力氏死去、71歳 青山学院大学名誉教授
-
無料オンライン講座「キリストの基礎知識コース」第9期受講者募集 2月15日開講
-
表現者意識を持とう 佐々木満男
-
第49回日本カトリック映画賞、「侍タイムスリッパー」に決定
-
性の多様性に揺れる世の中で、論争するより伝道しよう 菅野直基
-
「文学的原体験は聖書」 大学院生の鈴木結生さんが芥川賞受賞 父は牧師、教会で育つ
-
トランプ米大統領の就任式で大衆伝道者のグラハム氏らが祈り、神の導きと守り求める
-
神がいるのになぜ? キリスト教弁証学からの「悪の問題」
-
今、旧統一教会を知るための3冊 溝田悟士
-
説教でトランプ米大統領に不法移民らへの「慈悲」求めた聖公会主教、説教の意図語る
-
「世界迫害指数2025」発表 12カ国を「レッドゾーン」に指定
-
南部バプテスト派出身初の米大統領、日曜学校で長年奉仕 ジミー・カーター氏の信仰
-
米ロサンゼルスの山火事、教会やキリスト教学校も全焼など大きな被害
-
NCC靖国問題委、石破首相と野田立憲代表の伊勢神宮参拝に抗議
-
「サタン」が聖書を読む理由 ウクライナの最前線から