国際人権団体アムネスティ・インターナショナル日本は8日、イラク高等法廷でサダム・フセイン他2人に対し死刑判決が言い渡されたことに深い遺憾の意を表明した。
6日付で発表された声明では、この裁判には大きな欠陥があり、不公正であったと主張している。裁判はこの後、控訴審が一審判決を支持して死刑が確定した場合、絞首刑は年内に執行される見通しだ。
声明の中で、アムネスティの中東・北アフリカ部のマルコム・スマート部長の談話が発表された。「サダム・フセイン支配下で行なわれた大規模な人権侵害について真実を解明し説明責任を明確にするという点で、この裁判は、イラクにおける正義と法の支配の確立に大きく寄与すべきものだった。しかし実際には、裁判は実に杜撰で、国際基準に合致するような公正な裁判を行なう能力があるかどうかについて、疑問が生じるような重大な欠陥が、現行の法廷にはあった」。
イラクの独裁者としてフセイン被告は、1982年の暗殺未遂事件後にドジャイル村で起きた148人の住人の虐殺事件に関与したとして死刑判決を受けた。裁判は、米軍がフセインを拘束してから2年後の2005年10月に始まり、今年7月に終了。被告は1980年代のクルド系住民虐殺事件でも起訴され、裁判が始まっている。さらに別の十件前後の罪状で起訴されることになっている。