マスコミ報道による人権侵害の防止を目的として発足した「人権と報道・連絡会」(東京都・杉並区)は9月26日、「第19回人権と報道を考えるシンポジウム『公正な裁判とメディア報道』」を中央大学(東京都・千代田区)で開催する。ゲストとして英国報道苦情委員会(PCC)創立メンバーのロバート・ピンカー氏を迎え、英国の報道の現状について講演する。その後パネルディスカッションでは日本の報道改革や裁判員制度についてゲストらからの問題提起を受け、会場の参加者らを交えて討論を開く。
英国には「法廷侮辱罪」という報道規制があり、事件や裁判の報道が規制されている。このような状況でされる報道の現状とメディアの負う法的責任に関する制度について、ピンカー氏に報告と今後の課題を語ってもらう。最近進められている一連の司法改革では、「裁判員制度の導入」について注目が集まっている。裁判員制度はアメリカなどで採用されている「陪審制」と欧州諸国の「参審制」の中間といわれていて、裁判員として一般市民の中から抽選で選ばれた人が職業裁判官と協議して刑事被告人に判決を下すことができるという制度だ。有罪・無罪がここで判断され、場合によっては量刑の審査にも関わる。これについては裁判官の守秘義務が生じると同時に、報道記者が評議の内容を取材することも禁止しなければならないという議論がなされている。裁判官が報道陣に影響を受けることなく、公平な判断力を確保する必要があるからだ。
裁判の迅速化を一般市民からの公募で選ばれた裁判員に求めることに限界があり、また一方では職業裁判官のみによる裁判に公正な判決を求められるのかという問題も提起されている。警察による取調べや証拠の開示を実現しながら当事者の人権も助ェ守られる必要があるなど、新制度導入と並行して審議されなければならない難題にどう取り組むべきか。「あなたが裁判員に選ばれたらどうするか?」という問いかけに、日本の司法制度の現状をふまえながらロバート・ピンカー氏とともに取り組む。
主催: 人権と報道・連絡会(03・3341・9515 FAXのみ) 参加費(資料代)500円 参加希望者は当日現地にて登録。
第19回人権 と報道を考えるシンポジウム
「公正な裁判とメディア報道」
記念講演: 公正な裁判とメディア報道
−−英国におけるメディア責任制度の現在−−
英国・報道苦情委員会(PCC)プライバシー担当委員
ロバート・ピンカー氏
パネルディスカッション: 裁判員制度と犯罪報道
ロバート・ピンカー氏
河野義行さん (「松本サリン事件」報道被害者)
明珍美紀さん (新聞労連委員長)
西村健さん (日弁連司法改革実 現本部事務局長)
司会: 浅野健一さん (人報連世話人、同志社 大学教授)