日本聖書協会聖書図書館による第23回聖書セミナーの第1回目が25日、日本基督教団銀座教会・東京福音会センターで行なわれた。上智大学神学部教授でイエズス会司祭の岩島忠彦師が講師を務め、「イエス・キリストの死と復活」を総合テーマとした5回シリーズの第1回目「裏切られる夜(最後の晩餐)」に約30人が参加した。
岩島師は初めにプロテスタントとカトリックのそれぞれの神学について「互いにわかれば、大きな違いはない」と意見を述べ、自身がカトリックの立場に立つということを述べながらも、両者の信仰の本質に大きな違いがないことを伝えた。また、史的イエス研究の功過を指摘しながら、「このセミナーでは聖書の言葉が神の御言葉であるという視点で見ていきたい」と語った。
そして、イエスが我々の罪のために死に復活されたということに焦点をおく「パスカキリスト論」(過越しキリスト論)が、初期のケリグマ(宣教)の中心におかれていたことや、福音書もその中心がキリストの死と復活となっていることを取り上げ、信仰においてイエス・キリストの死と復活の解釈、過越の秘義の重要性を語った。
また、イエスがそのご自身の受難の意味を最後の晩餐で「これは、あなたがたのために与える、わたしのからだです」(ルカ22:19)として聖餐の形で示されたことや、「わたしを覚えてこれを行ないなさい」(同)と命令されたことを指摘し、聖餐の重要性と必要性を語った。
1時間半の講義の後には質疑応答の時間が持たれ、史的イエスの研究に関してや、聖体の解釈についてのプロテスタントとカトリックの違いに関する質問などが出された。
同セミナーは6月中旬まで続き、次回の「十字架の道(受難と死)」は5月9日に行われる。日本聖書教会の聖書図書館が行っているこのセミナーには過去に、新約聖書学者、グノーシス主義研究者として知られる荒井献氏や、旧約聖書学者として著名な津村俊夫氏、木田献一氏ら多数の聖書学者が講演し、その講義内容は『聖書セミナー』講義録として販売されている。
聖書セミナー、『聖書セミナー』講義録に関する詳細は日本聖書教会聖書図書館(03・3567・1995)まで。