箱根で45年、大阪で41年の歴史を持つ日本ケズィック・コンベンション(峯野龍弘中央委員長)の北海道大会が2月28日から3月2日まで、札幌市中央区の札幌プリンスホテル・国際館パミールで開催され、今大会で40周年を迎えた。講師に、英国福音同盟理事、ならびにスポルジョン・カレッジ理事長のロバート・エイメス師、また日本ケズィック・コンベンション中央委員長を務めるウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会主管牧師の峯野龍弘牧師を招いた。314人が参加。北海道ケズィック・コンベンション(久保木勁委員長)が主催した。
何よりも「ケズィック・コンベンション」という聖会を特徴付けるのは、『バイブル・リーディング』と呼ばれる卓越した聖書講解説教である。
全日程であわせて4回行われた今大会の『バイブル・リーディング』は、すべてロバート・エイメス師が講演した。今回が3回目の来日となるエイメス師。前回来日した際の北海道大会での講演でエイメス師は、新約聖書ルカの福音書2章を本文に、イエスの父ヨセフと母マリヤが少年イエスを見失う場面を説いた。
今回の講演では、同じルカの福音書2章に登場する、イエスを『見た』シメオンとアンナ、そしてヨハネの手紙第一1章にある、永遠のいのちとしてこの世に現わされた主イエス・キリストとの出会いを『目で見たもの』『じっと見』『手でさわったもの』と表現した使徒ヨハネの告白から、完全な救いを得、喜びにあふれたクリスチャンの生涯を説いた。
北海道大会が今大会で40周年を迎えるのを記念して、大会2日目には40周年記念講演が行われた。日本ケズィック・コンベンション中央委員長の峯野龍弘師が、ケズィックの意義とその特質について「荒野から聖なる大路へ」と題して、旧約聖書イザヤ書35章1〜24節を本文に講演した。
講演の中で峯野師は、ケズィック・コンベンションを「荒野のような不毛な信仰生活を送ってきた者たちが互いに、花咲き、実を豊かに結ばせる祝福されたクリスチャン生涯を実現させてくれる大道のごとき存在」だとし、この聖会の中心的メッセージである「個人的、実際的、聖書的ホーリネス」について説明した。
「個人的、実際的、聖書的ホーリネス」とは、第一に、それが個人的生涯の中で鮮やかに体験され得るものであること、第二に、それは単に知的神学的なものではなく、お互いの日常生活の中で生活化され、身につき実践されるものであること、第三に、それは特定の教派の神学や教理に立つものではなく、ひたすら聖書自身が約束し、主がお互いに求めておられる聖書的ホーリネスに根ざし、与えられるものであることを意味する。
130年以上もの歴史を持つケズィック・コンベンションの一貫した大きなテーマは「皆、キリスト・イエスにあって一つ」(ガラテヤ3:28)。英国のケズィック・コンベンションには、英国国教会の信徒をはじめ、スコットランドの長老教会、メソジスト教会、バプテスト教会、組合教会やプレモス・ブレズレンやナザレン教会、救世軍など他にも多数の教派からの出席者があるという。日本ケズィック・コンベンションにも、毎年全国で約90教派の教職信徒が参加し、全国合わせての参加登録者総数は多いときで約3千人にも及ぶ。
峯野師はケズィック・コンベンションの根本精神について、「ここにおいてはもはやいかなる教団教派の違い性も、また神学的、教理的立場の違い性も脱ぎ捨て」、「ただひたすら『キリストの愛の広さ、長さ、高さ、深さ』(エフェソ3:18)を追い求めて、『キリストの愛に根ざし』(同3:17、4:15)、『キリストの満ち溢れる豊かさ』(同4:13)に至るまで『成熟(円熟)した人間になる』(同4:13)ことを慕い求めて、生涯の最後の一息まで『聖なる大路』を歩み続けて行くこと」だと語った。
そして峯野師は、様々な聖句を引用しながら、聖書がいかにすべてのキリスト者に聖潔(ホーリネス)を求めているかを説いた。また、英国ケズィックと日本のケズィック運動の歴史を見ながら、それらが果たした歴史的意義について語った。
過去45年にわたり継続的に全国各地にその運動が波及した日本ケズィック・コンベンションの果たした意義と役割について峯野師は、?、日本の福音的諸教会の健全成長に貢献したこと、?、日本の宣教拡大と福音化に貢献したこと、?、説教者の説教の向上に貢献したこと、?、世界的視野とビジョンの拡大に貢献したこと、?、真の聖書的エキュメニカル運動に貢献したこと、?、世俗主義から教会とキリスト者と守ることに貢献したこと、?、死せる正統主義と活動的異端から教会とキリスト者を守ることに貢献したことなどを語った。
最後に峯野師は、「ケズィック運動は、教会とキリスト者個人を、更には社会までをも神の御心に従った『聖なる大路』に立ち返らせ、より高い聖なる生涯に上り行かせる」「この『聖なる大路』は、万人に開かれている」「この道に歩む者は、神の御心を喜ばせ、この地上にあっては美しき人間関係を受け継ぎ、また麗しい人間関係を結ぶことが出来る」とし、「それゆえお互いはこの道を歩もう」「そしてこの道にすべての人々を招こう」とすべての参加者に呼びかけた。
北海道ケズィック・コンベンションの委員長、久保木勁牧師(日本ナザレン教団札幌教会)は聖会を振り返り、「40周年にふさわしい集まりとなった」「春を迎える前に、信徒らの霊性が整えられる大切な場となった」と開催の喜びを語った。