イラクバグダッドとキルクーク北部の都市において29日、同時爆破テロが発生した。イラク当局によると3人のイラク人死者と9人のイラク人負傷者が発生したという。
29日午後4時10分から午後4時30分にかけて、計4つの爆弾が教会を標的に爆発した。このような迫害が多発する中でイラクのキリスト教人口は減少傾向にあり、国内外から懸念が強まっている。
イラクキルクークの正教会の近くに駐車されていた車の車内から爆弾が爆破され、六人の民間人が負傷し、その15分後、4時30分には別の教会で爆破攻撃があり、三人の民間人が死亡し、1人が負傷した。
爆弾は共に遠隔操作されていたという(AP通信)。
キルクークで最初の爆破が発生した5分後にはバグダット東部の聖ヨセフローマカトリック教会近辺に駐車されていた車で爆弾が爆破。キルクークでの2番目の爆破とほぼ同時刻である20分後には、バグダッド東部の聖公会近くで別の自動車が爆破されたという。
このような爆破テロは、イラク教会の状況を監視しているクリスチャンや、イラクに残っているクリスチャンにとってはめずらしいことではない。
今月30日に開かれる275人の議員からなる議会と憲法草案を前に、報道機関や迫害監視機関は、迫害から免れるためにイラク国内キリスト教少数派がヨルダン、シリア地方へと多数亡命するのではないかと昨年から懸念していた。
イラク国外へ亡命する窮地に立たされたイラク人キリスト教徒の数は2004年8月から始まった教会を標的とした爆破テロの激化と合わせてますます増加傾向にあることが報告されている。
VOA(Voice of America)の最近の報告によると、20世紀以降イラクを含む中東諸国においてキリスト教徒の人口は著しく減少しているという。
イラクにおける基本的人権の尊重に関しては改善が進んでいるが、国際基督教団体オープン・ドア米国会長カール・A・モエラー氏をはじめとするキリスト教迫害監視専門家たちは、イラクとその周辺国においてキリスト教徒の存在感が軽視されていることに懸念を示している。
イラク人口約2600万人中、イスラム教徒シーア派が60〜65%、スンニ派が32〜37%、そしてキリスト教、その他の人口が3%を占めるという。イラク国内のキリスト教徒人口は継続的に減少しており、現在100万人を切るという。