米テレビ局NBCが取り上げた監督教会派聖職者とその問題だらけの家族に関する番組「ザ・ブック・オブ・ダニエル」に対して子供が見るには親が側に付き添っている必要があり、またメディアはこのような番組を取り上げるべきではないと、非難の声が上がっている。
この番組は聖職者とその問題家族(聖職者の妻はアルコール依存症、息子はゲイ、娘は麻薬依存症、そしてもう一人の息子はストーカーという家族)に関する番組で、もともとキリスト教徒からも一般人からも放映することを多く非難されていたにもかかわらず、先週金曜日NBCによって放映された。
米国における若者への宣教を中心とし、今や世界中に何百万人もの若者の手に行き届いている宣教会、「ティーン・マニア・ミニストリー」創始者兼会長ロン・ルース氏はNBC局に対し、「ザ・ブック・オブ・ダニエル」のような番組は米国の子供たちに対して潜在的テロ行為になりうる、と警告した。他にも「セックス・イン・ザ・シティ」やMTVビデオのようなテレビ番組やメディアを通して非道徳的な性行為が若者に蔓延すると非難している。
思春期の若者の行動形態や価値観念がメディアによる影響下にあるという研究報告はこれまでに数多くなされている。ある十代の若者に対する意識調査によると、男子60%、女子40%がテレビ番組で見た行為を実際にしてみたいと答え、男子31%、女子18%がテレビ番組で見た行為を実際に行ったという。非営利調査団体ランド社はテレビドラマを継続的に視聴している子供は性行為を行う確率が二倍高くなるという調査結果を報告している。
ルース会長によるとアメリカでの過度に攻撃的な娯楽番組と若者の衝撃的行為の増加が関連しているのは容易にわかることであり、メディアが若者の人格形成に影響するということも科学的に証明されている。メディア製作者がそのような仕事で生計を立てている以上、彼らは罪悪感は感じているのではあろうが、それにもかかわらず、メディア製作側はその責任を取ろうとしない。今回の「ザ・ブック・オブ・ダニエル」シリーズも若者の道徳観を退廃させる行為を宣伝しているとして告発している。
またルース会長は、「世に議論をかもし、些細な営利を得るためにメディア製作者はそのことでどんなに子供たちに悪影響を及ぼすかについて配慮をしない。メディア会社は一切責任を取ろうとせず、彼らはそれは両親の責任であり、自分たちには言論の自由があると主張し、それ以外にも金儲けになるのであればどんな言い訳もするだろう。」と非難した。
ルース会長によるとこの問題家族をキリスト教家族の「現実」を代表するものとして番組を宣伝していたことが致命的に問題であったということである。
このことで米国に占める子供たちを正しい信仰の道へと歩ませたい大多数のクリスチャンの両親にとってなんの良い影響ももたらさない。 あるいは、「ザ・ブック・オブ・ダニエル」のような番組はキリスト教家族が子供を正しい信仰の道へ歩ませる障害にさえなっており、多くのキリスト教家族に衝撃を与えている、とルース会長は述べた。
「キリスト教徒の両親は子供を教会でよいクリスチャンとして育てたいと願っている。しかし子供たちはテレビを見たりインターネットをしたりして日常を過ごしている。両親が子供を育てているのだろうか、それともメディアが子供を育てているのだろうか?子供たちは家庭の居間に座ってテレビを見ることで両親の見ているすぐそばでテレビによって洗脳される、そしてそのことに家族は気づかないでいる。今日の米国における十代の若者は米国史上最大の規模を誇る。彼らが今日抱く世界観はこの国の将来に影響する。強大な敵が我々を襲撃し始めた。それは中東諸国のテロ組織でもなければ、その他のどんな暴力行為を含むテロリストによるものでもない。しかし何百万人ものティーンエイジャーがその敵によって危険にさらされている。」とルース会長はメディアによる悪影響に対して警告した。
昨年行われた非営利健康問題調査団体"The Kaiser Family"の統計調査によると、全米で毎年四百万人程度の若者が性病に感染しており、15歳までに女子20%、男子30%がすでに性体験を経験しており、17歳までには男女それぞれその割合は50%を上回るという。
*「ザ・ブック・オブ・ダニエル」について 米NBC局において2006年1月6日より毎週金曜日45分枠で全十三話放送予定。キリスト教徒とキリスト教徒の信仰のあり方について問う深刻な内容のドラマ。もともとは2005年秋に放送する予定であったが放送前から多くのキリスト教団体から批判がでており、先週金曜日に初回放送に至った。