バチカンは14日、性産業での女性虐待や児童労働にみられる近年の人身売買が数百年前のアフリカ人奴隷産業を上回る勢いで深刻化していると指摘し、諸国政府に取り締まりの強化を求めた。
教皇庁「正義と平和評議会」議長のレナート・ラファエレ・マルティーノ枢機卿は同日開かれた記者会見で、移民や行商人の人権問題に憂慮を示した。貧困を理由に子どもが人身売買で取り引きされるケースが多く、ほとんどの場合、労働、兵役、売春を強要されることがわかっている。
枢機卿は、増加するイラク人難民の生活支援とイラク国内の宗教者の保護の必要を強調した。会見は教皇ベネディクト16世の声明を発表する目的で行われた。
教皇は声明の中で、移民や難民が生活の向上を求めて故郷を離れた後、劣悪な環境の中で苦しんでいると述べた。移動資金を稼ぐために売春や人身売買を選択する人々は少なくない。
声明によると、最近10年で東欧から西欧が激増。結婚仲介や就職あっせんを装って人身売買を行う業者の被害にあう人が後を絶たないという。