今日の聖書は、囚人となったパウロがローマへ向かう途中、船が難破してしまった物語です。嵐の中、船は風にあおられ、吹き流されるままになりました。暴風に激しく翻弄されていたので、転覆を避けるために人々は積荷を捨て始め、船を操る船具まで捨ててしまいます。幾日も幾日も漂流し、食物も水も絶えた中で、パウロは人々を励まし、「元気を出しなさい」と語ったのです。それは、根拠のないものではなく、パウロは「神が語られた御言葉は、必ず実現する」と信じていたからでした。
大地震が引き起こした大津波の甚大な被害で心が沈み込んでいても、神の言葉は「元気を出しなさい」と響きます。一般の人々が、どう対処すればよいのかわからない時も、私たち信仰者は「元気を出しなさい」と言われる神の御言葉をしっかりと受け止めたいのです。たとえ、災難や試練に出くわしても、私たちクリスチャンには、明確な対処法があります。三つの基本を共に学びたいのです。
1.どんな試練に会っても、恐れない
御使いの言葉を通し、神は「恐れてはいけません」と語って下さいました。試練や危機に出くわした時に、「もう、だめだ。どうしよう」「夢も希望もない。死んだほうがましだ」そんな思いが私たちの心をよぎるかもしれません。でも、そんな時、「わが魂よ。恐れるな」と心の中で叫ぶ者でありたいのです。この御言葉と同時に、単に試練の力ではなく、神の力が働き始めることをはっきりと知って下さい。「恐れるな」という神の御言葉を、信仰を持って告白するならば、それが信仰のスイッチとなり、神の御業が確実に働き始めますから、私たちクリスチャンは、決して希望を失いません。
2.どんな状況でも、神のご計画は前進する
パウロと人々を乗せた船は難船し、何日も何日も漂流していました。羅針盤や、今のように精度の高いレーダーやGPSを搭載していたわけではありません。どこを漂っているのかもわからなければ、一体、いつ次の嵐に巻き込まれて溺れ死ぬかもわからない、水も食料も底を突いてしまった絶望の中で、神がパウロに語られたのは、「あなたは必ずカイザルの前に立ちます」という神ご自身のご計画でした。どのような状況であっても、神のご計画は進んでいるのです。神の御言葉を聞いた時、パウロは「必ず、当時の世界の中心地ローマで、皇帝の前に立ち、裁判の席で福音の証しを語る。それが自分に課せられた使命だ」と確信したのです。
神のご計画に生きることが、クリスチャンとなった私たちの使命です。単に、翻弄される運命ではなく、神に導かれる使命が私たちの人生に働いていることを知りましょう。
もしも、あなたが、病気や経済、家族のことで大きな試練の中に置かれていたとしても、神は「あなたには、まだまだ、わたしの計画が残っている」と語られます。恐れず、この神の御言葉をいただこうではありませんか。
3.祝福の源となるクリスチャン
御使いは、パウロに「神はあなたと同船している人々をみな、あなたにお与えになったのです」と語られました。同船している人はみな守られ、祝福されるという約束が与えられたのです。結局、確かに、みな守られ、パウロ自身はローマに到達し、皇帝の裁きの座で、キリストを証しすることができたのです。
神を信じている者は、幸せの震源地なのです。あなたの周りの家族や親族、友人も会社の同僚も、学校の友達も必ず、あなたと一緒に祝福されます。信仰者の周りにいる人々が共に祝福されるのは、神がアブラハムに祝福の約束を与えられた時から変わることなく、今も続いているのです。
自分の命だけを救おうと思う者は、それを失い、むしろ、イエスの十字架を背負ってイエスに付いて行く者が、自分の命を見い出すのです。イエスの命とは、多くの人の命を救うために十字架で捨てられた命ではありませんか。私たちの命はイエスの命と共にありますから、多くの人を祝福し、魂の救いへと導き、人々の心を幸せで温かく明るく支えていくのです。私たちはクリスチャンとして、人々に恵みを与えるために生かされ、用いられていくと信じましょう。何人分もの幸せのために神に仕えていく時、気がつけば、私たちの人生も、何倍にも祝福されていくのです。この恵みをしっかりといただいていきましょう。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。