【CJC=東京】「教皇の承認を必要とされる稀な動き」という書き出しで、AP通信は、ルーテル派からの改宗者が2月22日、ドイツでカトリック司祭に叙階され、夫人との結婚を維持することが許された、と報じた。しかも夫人は既に修道女になっている、というからAP通信も扱いに困ったと思われる。
独カトリック教会ケルン大司教のヨアキム・マイスナー枢機卿が2月22日、ルーテル派のハーム・クルーティング氏(61)を司祭に叙階した。クルーティング氏は既婚者でエデルトラウト夫人は2004年にカルメル修道会に入会している。
バチカン(ローマ教皇庁)報道事務所所長のフェデリコ・ロンバルディ司祭は、例外とは言え、同様なケースがあるにはあった、と語った。「毎日、起きることではない」と言う。
クルーティング氏と夫人が1977年結婚した当時はルーテル派だった。そして数年前にカトリックに改宗するまで、2人ともルーテル派の聖職者として務めを果たしていた。
カトリック教会ケルン大司教区は、声明で、夫妻は結婚を維持している限り、伝統的な独身誓願をする必要はない、と明らかにした。カトリック聖職者にとって独身誓願は重要な要件となっていることからすると、これは極端に異常な動きと言える。
AP通信は、クルーティング一家にコメントを求めようとしたが連絡が取れなかったという。現在も夫婦として同棲しているかは明らかでない。
ロンバルデイ報道事務所長は、クルーティング夫妻について特に情報があるわけではないし、この問題について教皇が何か語ったかどうかも知らない、と述べている。
クルーティング氏はケルン大学の歴史神学教授。スイスのフライブール大学でもカトリック神学を講じている。今後は、学生の霊的カウンセラーも務める。
1950年、教皇ピオ12世は、初めて既婚聖職者のカトリックへの転向を認めた。ただいずれのケースも個別に教皇の承認が必要だ、とケルン教区は声明で指摘している。これまでドイツではハンブルグとレーゲンスブルグで同様の例があった。
先ごろ、ロンドンで英国国教会の前主教3人がカトリック司祭として叙階された。これは国教会のメンバーをカトリック教会に受け入れることを容易にするため設定されたバチカンの新制度が適用された。
聖職者独身制への疑問は、性的虐待や不倫などの事件が起こる度に強まっている。心理学者の中には、人間性に反すると主張する人もいる。