【CJC=東京】南北共同行事などに参加しようと、韓国の韓相烈牧師(ハン・サンニョル=韓国進歩連帯顧問)が無許可で北朝鮮に6月12日、北京経由で訪れていたが、韓国へ帰還するため70日ぶりに8月20日午前、平壌を出発した。
韓国政府当局者は「北朝鮮赤十字会が20日午後3時に韓氏を南に送ると知らせてきた」と明らかにした。北朝鮮は当初、光復節の15日、韓氏を帰還させると明らかにしていたが延期していた。
韓牧師は同日午後、板門店を通り韓国へ帰還した。警察は午後3時30分ごろ、同牧師の身柄を拘束した。韓国伝統の白い服を着て韓半島(朝鮮半島)旗を持った同氏は、北朝鮮側の板門閣から軍事境界線まで、三歩一拝しながら移動した。北朝鮮側では200人以上の関係者が、「祖国統一」などと叫びながら見送ったという。
北朝鮮の朝鮮中央通信は午後4時48分ごろ、「南朝鮮の韓相烈牧師が午後3時に板門店を通じ、軍事境界線を越えた。安京浩委員長をはじめとする6・15共同宣言実践北朝鮮委員会の関係者らが、牧師と別れのあいさつを交わしながら抱き合った」などと報じた。
警察は、同氏を京畿道坡州警察署に移送、検察や国家情報院と協力し、北朝鮮に渡った経緯や現地での行動などについて取り調べを行った。国家保安法違反容疑で逮捕状を請求する方針。
韓牧師は6月22日に平壌で会見を開き、「哨戒艦『天安』沈没の責任は韓国政府にある」などと発言している。北朝鮮では、金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長、安京浩(アン・ギョンホ)6・15共同宣言実践北朝鮮委員会委員長など政府関係者らと会見した。
20日午後、板門店に近い京畿道坡州市の臨津閣周辺には、保守団体と左派団体の双方1000人以上が集まったが、衝突などはなかった。同市内の統一大橋南端では、『ライトコリア』など保守団体650人以上が、「国家保安法に違反した韓相烈の入国阻止および糾弾大会」を開催した。臨津江駅では、民主労働党坡州支部などの左派団体の100人以上が、韓牧師を歓迎するための集会を行った。
『6・15共同宣言実践北朝鮮委員会』は18日、韓牧師の帰国に関して声明を発表、支持の意を表した。
声明は「韓相烈牧師の朝鮮訪問は『南北共同声明』の履行を目的としており、その行動は民族の和解と協力の促進、朝鮮半島の平和の維持、南北の統一などにプラスとなる。朝鮮各界の人々はこれらの行動を断固支持する」としている。
また、声明は「韓国政府が韓相烈牧師の帰国に反対し、逮捕すると発表したことは韓国政府が『南北共同声明』の履行を望まず、民族の和解と団結の実現に反対の姿勢が反映されている」と指摘し、韓国政府の韓相烈牧師への不当な行動の停止を求め、「もし牧師が逮捕されれば、各界から抗議と非難が起きるだろう」と警告した。
韓国政府は、韓牧師が無許可で訪朝、哨戒艦沈没をめぐり韓国に批判的な記者会見を行ったことなどを問題視している。
韓牧師は2008年、米国産牛肉輸入問題で李明博政権を批判するろうそく集会・デモをめぐり、無届けの集会を主導したとして逮捕されたことがある。