南アフリカで開催中のサッカー・ワールドカップ(W杯)をテレビで観戦していた若者2人が12日、ソマリアの首都モガディシオでイスラム武装勢力に射殺された。他にも10人が拘束され、近くイスラム法廷で裁判にかけられる。ソマリアのイスラム武装勢力は、サッカーはキリスト教文化に属するものだとして、サッカーの観戦やプレーを禁止している。朝日新聞が伝えた。
現在も正式国名を持たない無政府状態にあるソマリアでは、サッカーは人気スポーツ。しかし、モガディシオのうちイスラム武装勢力が支配する大半の地域では、サッカーの観戦やプレーが禁止されている。W杯開幕直前にも、サッカー観戦への警告があったという。
現在のソマリアでは、安全に試合観戦ができる公の場は、モガディシオの政府掌握地域にある映画館一ヵ所だけという状態にある。政府掌握地域以外にある映画館で破壊も閉鎖もしていないものは少なく、ここ数年では、武装勢力が映画館に手榴弾を投げ込み、死傷者が発生する事件が相次いで発生している。
一方、W杯を狙ったテロについては、イラクで拘束された国際テロ組織アルカイダ系武装勢力がデンマークやオランダの選手、観客を狙ったテロを計画していたことが開幕前に報道されるなどしていた。報道によると、デンマークとオランダが狙われたのは、両国内でムハンマドの風刺画が掲載されたことへの報復のためだった。
国際サッカー連盟(FIFA)は会見を開き、FIFAや共同で調査を行っている複数の情報機関からW杯を狙ったテロに関する情報は一切受けていないと説明し、安全性を強調。11日の開幕から今のところ、テロに該当するような事件は発生していない。