日本聖書協会(東京都中央区、大宮溥理事長)は2日、数年前から計画が持ち上がっていた「聖書 新共同訳」に続く、聖書の新しい日本語翻訳に着手すると発表した。2016年に「標準訳聖書」(仮称)として出版する予定。毎日新聞が報じた。
予定通り2016年に出版された場合、同協会が出版する聖書としては、1987年に初版が出版された「聖書 新共同訳」以来、実に29年ぶりの新訳となる。同紙によると、「標準訳聖書」は「聖書 新共同訳」と同様、プロテスタント、カトリックの両派共同の訳となる。
20世紀後半以降のエキュメニカル運動に沿って、日本では1969年に両派共同の翻訳へ向けた初の会合が開かれた。1972年から実際の翻訳作業が始まり、1978年に「新約聖書 共同訳」が出版。1987年に旧新約そろった初の両派共同による日本語訳聖書として「聖書 新共同訳」が出版されるまで、15年の翻訳期間を要した。これに比べると、今回発表された「標準訳聖書」の出版予定が2016年というのは、短い翻訳期間と見ることができる。
同紙によると、同協会は「聖書 新共同訳」について、平明さを追求した結果、「日本語の美しさやリズム感に欠ける」という指摘があったとコメント。日本語としての表現にも配慮するとしている。
「聖書 新共同訳」は20年間で約1000万冊が出版されており、出版20周年を迎えた07年には、大宮理事長が「改訂を考えるべき時ではないか議論を始めている」とコメントし、これまでにも正式ではないが新しい翻訳へ向けた動きがあることを伝えていた。
同協会は、06年と07年に国際的に著名な聖書学者や神学者らを講師とした「国際聖書フォーラム」を開催。08年には、世界で唯一の聖書翻訳博士課程を持つアムステルダム自由大学のローレンス・デ・フリス教授(翻訳学)を講師とした「聖書翻訳ワークショップ」を行うなど、新訳へ向けた下地作りをしてきた。