[著者]レテー・B・カウマン
(山崎亭治訳)
[出版]福音文書刊行会
[大きさ・頁数]B6・404ページ
[価格]2,500円
[評者]原登
日本キリスト伝道会会長・日本基督教団小松川教会名誉牧師・東京聖書学校名誉教授
「福音文書刊行会」創立以来今日まで数多くの出版を手がけてきましたが、毎年その年度末における販売数のトップを飾るものは実にこの「荒野の泉」であります。本書の初版は1925年、それは日本では大正14年の事でありました。故山崎亭治先生が翻訳され太平洋戦争前の雑誌「聖潮」に連続掲載されたもので、その後何回も改訂され文語訳を口語訳に改めるなどして今日にいたったものであります。訳者の故山崎亭治先生は訳者のことばの中で、「当時、私は内的に非常に大きな苦悩を感じていたが、本書によってこの霊性の危機から救い出されることが出来た」と述懐しておられます。
たしかに、本書は、読むものに多くの慰めと霊的な助けをもたらすものであります。本書の著者であられた、レティ・ビー・カウマン夫人は、日本において永年教会伝道に苦労された方であるので、その文章には、霊的慈味あふれるものがあります。まさに「霊の糧」であってこの種の霊的書物としては他に類をみない深いものがあると思われます。
読み進んで発見する事は、霊的指導者による著書の引用、抜萃が大変多くスポルジョン、ジョージ・マセソン、F・B・マイヤー、ジョージ・ミュラー、ラスキン、C・G・トラムブル、マクラレン、A・B・シンプソン、ジョン・ウェスレー等々、深い霊的文章の引用は無数にあります。もし本書を手にとられるならば、この一冊をもって何千冊かの霊的書物を読了したにひとしい霊的収穫があるでしょう。