ラマダン(断食月)の期間を迎えているエジプトなどアラブ諸国のイスラム社会で、断食が終わる日没後の宴会で出た食事の「食べ残し」が増えており、地元紙などから「イスラムの教えに反する」と批判の声が上がっている。共同通信が伝えた。
今年のラマダンは8月22日から今月20日まで。この期間は日の出から日没までの飲食が禁じられるが、日没後は親族らを招いて宴会を開くのがイスラム社会の慣例となっている。
エジプト紙が今月3日付で伝えた同国社会犯罪研究所の調査によると、今年のラマダーン期間には、同国における一般家庭の肉類・菓子類の購入量が、平常時と比べそれぞれ実に60%以上も増加。ところが、宴会などで出た食事のうち6割から7割は「食べ残し」となり捨てられているという。
この現状を受けてアラブ首長国連邦の英字紙は、イスラム教指導者の言葉を引用し「ラマダーンには貧しい人の飢えの苦しみを理解する目的もあるのに、イスラムの教えに反している」と批判。また、ラマダーン中の食べ過ぎは糖尿病や心臓病を引き起こすなど身体に悪影響を及ぼすとの指摘もあり、エジプトの宗教指導者は「ラマダーン中は簡素な食事に徹し、余分なお金は貧しい人々への支援に回すべきだ」との見解を示している。