国内最大のプロテスタント教会組織、日本基督教団で発足した「日本キリスト教団聖霊刷新協議会」世話人代表者の手束正昭師(同教団高砂教会主任牧師)に協議会発足の目的と経緯、今後のビジョンについて聞いた。
聖霊刷新協議会とは
聖霊刷新協議会は、日本基督教団でカリスマの恵みを受けた人たちが、教団を離脱することなく教団にとどまりながら聖霊の賜物を回復することを目指し、大同団結して結成。1998年1月26日「第1回世話人会」をもって正式に旗揚げとなった。
全国大会への発展
聖霊の流れが日本基督教団を潤すことを目的として、協議会全国大会の働きが始まった。高砂教会を会場に隔年開催される全国大会は、今年7月18日に第4回を迎え、ドイツ福音教会霊的教会刷新協議会(GGE)代表のディター・コイヒャー牧師を講師に招待する。過去の大会では、第1回大会は奥山実氏(宣教訓練センター所長)、第2回大会は彭徳貴氏(台湾教会更新服事団総幹事)、第3回大会は申賢均氏(韓国民族福音化運動総裁)が講師を務めた。
台湾との連帯
日本基督教団は1963年、台湾の民主主義化と独立を支持して台湾基督長老教会と宣教協約を結んだ。1980年代に入ると、当時、同教会総幹事だった高俊明牧師(前台湾教会更新服事団議長)が独立運動者を保護した容疑で逮捕・投獄されるという事件(高雄事件)が起こった。以降、同教会に対する政府の弾圧は激化していった。 台湾独立派を弾圧・処刑していた前総統・蒋経国(1906~88年)が死去し、台湾人の李登輝が総統に就任すると、台湾は急激に民主化が進み、日本側の支援なしに教会が自立できるようになった。手束牧師は「そのときから(日台教会の連帯が)霊的、信仰的なものへと変わっていたことは主の導きでしかない」と語った。
手束牧師は「台湾は日本と歴史的に深い関わりがあるにもかかわらず、日本は歴史に対する理解に乏しいのが現状だ」と指摘する。
台湾の博愛教会の林誠牧師から届いた一通の手紙がきっかけで、手束牧師が初めて台湾に遣わされたのは1988年。手束牧師の著書『キリスト教の第三の波』(キリスト新聞社)を読んだ林牧師から、「ぜひ指導していただきたい」との要望を受けてのことだった。そのころ現地で開催された聖会で、手束牧師は高砂教会で起こった聖霊降臨の出来事を再度目撃することになる。このことがきっかけとなり、手束牧師は毎年継続的に台湾の教会を訪問している。
2001年、聖霊刷新協議会全国大会で、聖霊刷新協議会と台湾基督長老教会の台湾教会更新服事団は協力関係を公的に結んだ。
日本基督教団と聖霊刷新協議会
第2次大戦中にプロテスタント諸教会の合併で誕生した日本基督教団は、戦後から衰退を余儀なくされている。手束牧師は、今後10年で無牧(牧会者不在)の教会が同教団内だけで500に上るかもしれないとの懸念を示した。手束牧師は教団の教勢衰退について、1970年頃から社会派が主導権を握り、霊性を軽視して人間中心主義に陥ったことが伝道不振の原因と分析する。「(教団が)聖霊によって質的に変えられなければ明日はない」と教団の将来を案じる手束牧師は、聖霊刷新協議会が推進する初代教会のカリスマ的質の回復を通して、教団批判や分裂を回避しながら聖霊によって教団内の信仰を刷新し、教団のあるべき姿を回復できると信じている。