仏教国として知られるタイだが、南部を中心に、人口のおよそ8%にもなる決して少なくないイスラム教徒が住んでいる。その歴史は古く13世紀にさかのぼり、隣国マレーシアからイスラムは伝わったのだ。そんなタイの、主にイスラム教徒に福音を伝える宣教団体からの素晴らしい証しを紹介したい。
ジェームズは、ある宣教会議に出席して数日の休暇を過ごすため、飛行機に搭乗し、自分の席でくつろいでいた。彼はこれからの1週間について考えていたとき、神がこうおっしゃっておられるのを感じた。「あなたの隣に座っている女性に『わたしはあなたのことを知っており、あなたを愛している』と伝えなさい」と。
そこでジェームズは、隣の席に座るヒジャブをかぶった若いイスラム教徒の女性に目をやった。しかしどのように会話を始めたらよいか分からなかった。文化的に、男性のジェームズがイスラム教徒の女性と会話を始めるのは気まずいことだ。しかし、とにかく彼は声をかけてみた。
「アサラーム・アライクム(あなたに平安がありますように)」とジェームズは彼女にあいさつをした。「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。実は、私はキリスト教徒です。数分前に祈っていたとき、神様があなたに、こう伝えてほしいと感じました。『わたしはあなたを知っている。いつもあなたを見ている。そしてあなたのことをとても愛している』と」
すると、隣席のサリパは大きく目を見開いて、どもりながら答えた。「あなたはクリスチャンなの?! 私は今、聖書を読んでいたところなのよ。説明してもらえませんか?」
「ええ、もちろんです!」とジェームズは神のやり方に驚嘆し、驚きながらもこう伝えた。「でも、私がそうするより、妻があなたに会ってもっと詳しく説明できるかもしれません。あなたはどこにお住まいですか?」
すると彼女は、ジェームズ夫婦が奉仕している同じ街に住んでいることが分かった。さらに続けると、2人は同じ近所のまさに同じ通りに住んでいることが分かったのだ。神は確かにサリパの家族の中で働いておられ、神の言葉を求める渇望をもたらしていたのだ。
その週の後半、ジェームズの妻はサリパに連絡を取り、2人は神によって導かれた聖書の勉強会を始めたのである。かつて主イエスもサマリヤの井戸の傍らで、教師が見知らぬ婦人に声をかけるという、決してしてはいけないタブーを乗り越え、サマリヤの女に声をかけた。その結果、サマリヤの町に考えられないリバイバルが起きたのだ(ヨハネ福音書4:4〜42)。主は、それが必要とされるなら、今も同じように働かれる。
ほんの一握りの教会しかないナラティワートを含むタイ南部の諸県に、教会が植えられ、成長するように祈ろう。また、イエスに興味を持ちながらも、学ぶのに苦労しているタイのイスラム教徒が、福音を説明できるキリスト教徒の友人を見つけられるように祈っていただきたい。
■ タイの宗教人口
仏教 85・3%
カトリック 0・5%
プロテスタント 0・6%
イスラム 7・9%
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