フランスの首都パリのノートルダム大聖堂が7日、2019年の大規模な火災による被害から5年にわたる修復作業を経て再開し、記念式典やコンサートが行われた。
式典には、フランスのエマニュエル・マクロン大統領をはじめ、英国のウィリアム皇太子、米国のドナルド・トランプ次期大統領、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領など各国首脳が参列した。
式典は、パリ大司教ローラン・ウルリッヒが司教杖で大聖堂の扉を3度たたくことで始まり、900年近い歴史を持つ大聖堂が火炎から救われたことへの感謝の印として、フランス語で「ありがとう」を意味する「メルシー(Merci)」の文字が大聖堂の正面に映し出された。
マクロン大統領は、大聖堂がこれほど早く修復されたことについて、フランスは「不可能を可能にした」と称賛し、次のように述べた。
「私は皆さんの前で、フランス国民を代表して、大聖堂を救い、助け、再建してくださった全ての人々に感謝の気持ちを伝えたいと思います。今夜、私たちは共に喜びと誇りを分かち合うことができます。ノートルダム大聖堂、万歳、共和国万歳、フランス万歳」
式典後には大聖堂前でコンサートが開かれ、米歌手ファレル・ウィリアムスがゴスペルクワイアと共に、ヒット曲「ハッピー」などを披露した。
ノートルダム大聖堂は1345年の完成以来、フランスにおけるキリスト教のとりでとして、またパリの中心として、何世紀にもわたって存続してきたが、2019年4月15日の大規模な火災により、アーチ型の天井や尖塔のほとんどが焼失してしまった。その惨状は世界中に中継され、多くの人々が心を痛めた。その後、約7億ユーロ(約1100億円)をかけ、新しい屋根と尖塔、最先端の照明、新しい祭壇の設置を含む大がかりな修復を実施。かつての栄光の姿が忠実に再現された。
8日午前には、ウルリッヒ大司教の司式で火災後初となるミサが行われ、数百人の司教や司祭が参列した。同日夕の2回目のミサは一般公開され、約2500人の一般市民が参列した。
7日の式典は、さまざまな特別イベントが予定されているオープニングウィークの開始を告げるもので、火災後ルーブル美術館に一時的に保管されていた大聖堂所蔵の聖遺物「いばらの冠」が戻って来ることが最大の目玉となっている。大聖堂は16日から、観光客にも公開される。
■ フランス大統領府が作成したノートルダム大聖堂の再開記念動画