フランス・パリのノートルダム大聖堂で現地時間15日午後7時(日本時間16日午前2時)ごろ、大規模な火災が発生し、約90メートルに及ぶ尖塔(せんとう)が崩れ落ちるなどした。数カ月前から改修工事が行われており、屋根に取り付けられていた足場部分から出火したとみられているが、これまでのところ詳しい原因は分かっていない。
ノートルダム大聖堂は、パリ中心部を流れるセーヌ川の中州「シテ島」にあるカトリック教会の大聖堂。1163年に着工し、改修や増築を繰り返した。1991年には周辺の歴史的建築物などと共に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録されている。
年間1200万人が訪れるパリを代表する観光名所でもあるが、火災は閉館時間に発生したため、大聖堂内に観光客はいなかったとみられている。約400人の消防隊員が消火活動に当たっているが、これまでに隊員1人が大けがをしたと伝えられている。
フランス・カトリック司教協議会は声明を発表し、火災は「計り知れない悲しみ」だと表明。大聖堂はカトリック信仰の象徴的存在であったとともに、信仰の有無を問わずすべての人にとってフランスの歴史を知るための重要な場所であったと指摘した。一方、イースター(復活祭)を前にした聖週間(受難週)の出来事であることに触れ、信仰者に対しては、希望の源であるイエス・キリストの死と復活の神秘に生きるよう呼び掛けた。
パリ・トリニティー国際教会のマルコム・マクローリン副牧師は英国クリスチャントゥデイに対し、「この大きな損失に気を重くしており、パリ市民また世界中の人々と共に深く悲しんでいます」とコメント。「私たちはイエスに従う者として、悲しむ人々が慰められるように、消防隊員が力づけられるように、そしてわが国の指導者のために祈っています。この大きな悲劇が、私たちを主イエスにより近づかせることを願っています」と語った。