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花嫁

花嫁(12)ゲツセマネの弟子のごとく 星野ひかり

2024年9月19日20時18分 コラムニスト : 星野ひかり
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花嫁(1)食卓 星野ひかり+

イエス様がゲツセマネの園で祈っているときに「目を覚ましていなさい」と命じておいた弟子たちが、皆眠りに落ちてしまった。木々の葉が風にかすれる音の響く静寂なる夜に、にわかに忍び寄ってくる殺意の匂い・・・。主の愛した園の土も、人の肉のように柔らかに不穏な気配を悟ったかもしれなかった。私たちの君はたった一人の祈りの中で、どれほどに寂しかったことだろうか。

今もイエス様は祈っておられる。私たち信徒らもイエス様に「目を覚ましているように」と言われている。しかし目を覚ましていられずに、イエス様にどれだけ寂しい思いをさせていることだろうか。

いつも目を覚ましているというのはどういうことか。常に神の義と神の国を思って生きていることであるとしたなら、常に神様を目の前に歩んでいることであるとしたなら、私たちの生活では、そうできないときがどれほどに多いことだろうか。イエス様は今もこの世界を、どこまでも細部まで見つめておられる。そのまなざしに気付くことなく、惰眠をむさぼる弟子でしかない私たちである。

神様は「あなたに与えているものは十分である」と言われているというのに、生活の心配や人との関係に心が揺らぎ、与えられているものだけで満足せず、うまくいかない事柄を人の力にばかり頼って解決しようと苦悶(くもん)する。

それであってもイエス様は私たちをお見捨てにならない。熱情の弟子であったペテロが三度イエス様を否んで呪いの言葉まで口にすることを知っていても、イエス様はペテロを愛することをやめられなかった。

私たちはどれほどに裏切り、どれほどにむごい弟子だろうか。しかし、そのように不十分な人間だからこそ、イエス様の十字架がある。私たちのその罪の全てを覆い、赦(ゆる)される十字架がある。イエス様の痛みが世界ににじみ、血が滴り落ちるような雨が聞こえる。鈴虫の合唱の中に、しと、しと・・・。

目の弱い羊のように、私たちは今日もこの世をさまよう。イエス様は一生懸命杖を用いて私たちを導かれる。決してはぐれぬように、心配しながら。

主を安心させるような私たちにはなかなかなれず、誰もが毎日、不十分な歩みだろう。主の杖にくくり付けられた、鈴の音のような聖句が、迷いやすい私たちを何とか群れの中に留めている。さまよい出てしまったならば、99匹の羊を置いてでもその1匹を助けに行かれる私たちの牧者である。

ほとほと自分が情けなくなるときもある。しかしそのように、胸を張ってなどいられない、そんな私たちでもよいのだろう。私たちは哀れみをかけられた、哀れな者でしかないのだから。そしてイエス様は、私たちを愛するあまりに十字架にかけられるほどに、愚かなる愛の神様なのだ。

先ほど柔らかい食パンを3枚、卵と豆乳と砂糖の液の中に浸した。夫の大好きなフレンチトーストの準備である。主の愛する夫への愛を込めて、おいしいコーヒーも一緒に飲んでもらおうと思っている。

この世のものが全て悪いのではなく、この世のものは全て善きものである。ただ、悪く使うか、善く使うか、それだけが私たちの選択である。

この朝の食材、調理、その時間を、主のためにささげたいものである。

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◇

星野ひかり

星野ひかり

(ほしの・ひかり)

千葉県在住。2013年、友人の導きで信仰を持つ。18年4月1日イースターにバプテスマを受け、バプテスト教会に通っている。同年より、クリスチャントゥデイで連載を始める。これまでの掲載作品は、「のりぼと神様」(18年)、「はっつぁんとかおる姫」(同年)、「背徳の街のマリヤ」(19年)、「み使いダニエル」(20〜21年)、「さくら時計」(21〜22年)、「すみれ時計」(22年)、「小菊時計」(同年)、「夜明け前」(22〜23年)、「花嫁」(24年〜)。

■ 星野ひかりフェイスブックページ
■「花嫁(9)白百合の願い」で取り上げた星野ひかりの石鹸はこちら

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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