福島県郡山市にある郡山カトリック教会で15日、がん遺児のためのチャリティーコンサートが開かれた。読売新聞が伝えた。
がんとの闘病経験を持つ菊地陽子さん(53)の始めたバンド「イン・ザ・ウィンド」が主催。がんで働き手をなくして苦しむ家族がいることを少しでも多くの人に知ってもらいたいと、04年から年1回のペースで同趣旨のコンサートを開催している。
収益金は、病気や災害などで親を亡くした子どもを支援する「あしなが育英会」に寄付される。
あしなが育英会が昨年12月に同団体の高校奨学生1〜2年のうち遺児母子家庭1878世帯を対象に実施した調査によると、働き手である母親の非正規雇用は増加傾向にあり、失業率は全国の45歳から54歳の女性失業率の3倍にあたる9.3%に達した。
また、最低限の生活を維持するために、病気や病気がちであっても働く母親が2月の調査では24.5%だったのに対し、32.8%にまで増加。年末年始も働きづめの母親は56.4%、うち「休暇2日間以内」が40.1%にまで上った。
さらに、奨学金だけでは間に合わないほど生活が苦しいと訴えている母親が、2月調査の12.9%から13.5%に増加。その影響で、子どもが「進学意欲をなくした」が2月調査比1.6ポイント増の16.1%、「進学をあきらめた」が同比2.2ポイント増の9.0%にまで増加した。
同団体は、遺児家庭の貧困の連鎖を断ち切るためには、遺児に教育の機会均等を保証することが不可欠であり、そのための早急な制度的救済が必要だと訴えている。