難民としてシリアから北アフリカに逃れたタレックは、タクシードライバーとして生計を立てていたが、キリストを信じるケビンとの出会いを通じて霊的な対話を始める。そして、彼はついに聖書を読み始めたのだ。(第1回から読む)
神の御言葉に触れた最初の夜、タレックは福音書を100ページも読んだ。数日後、彼はケビンの妻に言った。「僕がイエスに従えるように祈ってください。イエスを信じたい気持ちはある。でも・・・」「あら、それなら決断すればいいじゃない? なぜイエスに従うと決断できないの?」と彼女は尋ねた。タレックは「僕の家族はずっとイスラム教徒だ。もし僕がイエスに従うことを決めたら、それは大きな問題を引き起こすことになるだろう」と答えた。
ケビンと彼の家族は、タレックが霊的な戦いと葛藤の渦中にあるのを見ながら、彼のために祈り続けた。するとタレックはコーランの中に、イエスが人間以上の存在であり、従うに値する人物であるという言葉を発見した。ケビンと彼の妻には、聖霊がタレックの心を和らげ、イエスとの関係に導いているように思えた。
タレックは最終的に、家族との再会を望む国で難民申請をしたが、出国の時期が原因不明の遅れに直面し続けた。ある日タレックは「ケビン、どうか僕のために祈ってくれ」と懇願した。「大使館の人たちに、出発がいつになるのかを問い合わせても、彼らは電話に出ないんだ。僕はなんだか家族に会えないような絶望感に襲われている。僕のために神に祈ってくれないかい?」そしてケビンは「今、君のために祈るよ」と約束した。
すると数時間後、ケビンはタレックから電話を受けた。開口一番タレックは「今大使館から電話があったんだ!」と叫んだ。「彼らが電話してきたんだよ! 今までずっと電話してこなかったのにさ! 君が祈ったら、すぐに電話してきたんだ! これはサインに違いない」
すると翌週、タレックは、イエスには罪を赦(ゆる)す力があるというコーランの一節を読んだのだ。タレックは、罪を赦すことができるお方は神しかいないと信じていた。彼は、イエスは神ご自身であり、福音書は真実であり、イエスは本当に聖書に書かれている通りの方だと結論付けたのだ。
数日後、タレックはケビンに電話をかけ、もう一度祈りを求めた。「今、大使館からの電話を待っているところなんだ。僕は家族に会いたい。ケビン、どうか祈ってくれないか?」そこでケビンは彼のために祈った。
すると数時間後、タレックからケビンに驚きの知らせが入った。「ケビン、わが兄弟よ!」タレックは興奮気味に話し始めた。「また電話があったんだ! あと2週間で出国できると言われたんだよ! 君が祈るとすぐ答えが返ってきたんだ。これは2つ目のサインだ。これは間違いなくしるしだ!」この時、タレックは初めて自分の決心を明らかにした。「私は永遠にイエスに従います!」と。そして彼は新しく生まれたのだ。(続く)
■ シリアの宗教人口 ※内戦前統計
イスラム 90%
プロテスタント 0・2%
カトリック 3・1%
正教系 3・0%
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