【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世は、「ルフェーブル大司教に叙階された4司教の破門解消について」と題した書簡を、司教らに宛て送った。書簡は3月10日付で、バチカン(ローマ教皇庁)広報局を通じ12日発表された。
教皇は、故マルセル・ルフェーブル神父によって、教皇庁の承認なしに1988年叙階された司教4人の破門を解消した。
今回の教皇書簡は、破門解消の目的を説明し、教会内の一致を強調するもの。教皇は書簡の冒頭で、今回の破門解消が教会の内外に大きな議論をもたらしたことを認めた。
バチカン放送(日本語電子版)によると、司教たちの間で、この破門解消を今日の教会の課題の中でどのように位置づけるべきかという疑問や、和解に向けた今回の処置を良いものと捉えながらも、現代の教会の中でそれは急務の問題なのかという思いや、第二バチカン公会議以前に後戻りするものだという批判などが起きたことに対し、教皇は、決断の意図を理解し、教会内の平和に貢献するための助けとなるようにとの願いを表明している。
教皇は、特にホロコースト(ユダヤ人虐殺)を否定したリチャード・ウイリアムソン司教を破門解消に含めたことを「思いがけず不幸なこと」と述べ、4司教に対する慈悲の行為が、これで全く違うものとして捉えられ、第二バチカン公会議で明確にされたキリスト教とユダヤ教の和解が全否定されたかのように見なされたことを、ただ深く遺憾なこと、と述べた。
教皇は、今回の破門解消について、破門は人に及ぶもので組織に及ぶものではないこと、教会は破門という重い罰をもって、教皇との一致から離れた人々を悔悛と一致へと呼び戻すが、叙階からの20年、残念ながらこの目標にはまだ到達していない、と述べている。
『聖ピオ十世会』は、教会法上の認可を受けておらず、教会の罰から解放されても、教義上の問題が解決しない限り、その聖職者たちは正当な方法で教会内の役務を果たすことができない、と教皇は明示した。