ドイツのシュツットガルト近郊の中等学校で11日、元生徒の少年(17)が銃を乱射し、生徒9人、教師3人を殺害、その後逃走中に近郊で3人を殺害し計15人が犠牲になった事件で、ドイツの教会からは大きな悲しみの声が出ている。
ドイツ福音主義教会連盟(EKD)代表のウォルフガング・ハーバー主教は、犠牲者の家族そして加害者が今私の思いと祈りのうちにあるとコメント。ヴュルテンベルク教区のフランク・オトフリート・ジュライ主教は、「私自身牧師として、この事件の前に愕然としている」などと悲しみを示すとともに、事件の悲惨さに驚きを隠せない様子だ。
事件は南部ウィンネンデンの技術系学校で11日午前に発生。地元メディアの報道などによれば、同学校の卒業生である容疑者の少年は黒色の戦闘服を着て学校に侵入し、約10分間に3つの教室で相次いで銃を乱射。居合わせた生徒らの証言によれば、少年は無言のままで頭部を狙い撃ちにしたという。中にはペンを握り締めたまま死亡した生徒もいた。
犯行後、少年は現場を逃げ出し、途中にあった病院で働いていた1人を殺害。さらに車を乗っ取り、運転手に走行を命じたが車は途中で衝突事故を起こし、運転手が警察に通報した。この間に少年は近くにあった車のショールームを襲い、店員と客2人を殺害した。
地元警察は少年の追跡に約1000人を動員し、追跡中に少なくとも1発を少年の足に命中させていた。少年は遺体で発見され警察は初めは射殺したと発表したが、その後自殺したとの見解を示している。
ドイツは世界で最も銃規制が厳しい国とされており、アンゲラ・メルケル独首相は事件後に異例の記者会見を行い、「非常に恐ろしい事件。国全体が喪に服している」「我々の思いは(犠牲者の)家族と友人たちに向けられている。我々は犠牲者のことを思い、彼らのために祈っている」と語った。
EKDのスポークスマンによれば、すでに15人以上の精神カウンセラーを事件があった地域に派遣しており、その他多数の聖職者らとともに遺族や近隣住民のサポートを行うとしている。