米キリスト教世論調査機関「ライフウェイリサーチ」の最新の調査結果(英語)によると、米国内のプロテスタントの牧師の大半が、同性婚に反対していることが分かった。また、比較的LGBTQ(性的少数者)に寛容な主流派(メインライン)の牧師の間でも、これまで増加傾向にあった同性婚に対する支持が失速していることが明らかになった。
4日に結果が発表されたこの調査は、米国内のプロテスタントの牧師1004人を対象に、2023年8月29日から9月20日まで行われた。信頼水準は95%で、標本誤差はプラスマイナス3・2%だった。
調査の結果、同性婚について「何の問題もない」と答えた牧師は21%で、前回の調査を行った19年の24%に比べると若干減少した。また、神学的に進歩的な主流派の教派に属する牧師で、同性婚を支持すると答えたのは46%で、前々回の調査を行った10年の32%は大きく上回ったものの、19年の47%とほぼ同じで、横ばいとなった。
ライフウェイリサーチのスコット・マコーネル所長は、調査結果を受け、次のように述べた。
「以前の(同性婚支持の)伸びは、主流派の牧師たちの間で最もはっきりと見られましたが、その水準は最新の調査では上がっていませんでした。同性婚の道徳性については、各教派内で全国レベル、また司法レベルで議論が続いていますが、同性婚を支持するプロテスタントの牧師全体の数は増えてはいません」
福音派では、同性婚を支持する牧師はわずか7%だった。
年代別に見ると、若い世代の方がより同性婚を支持する傾向が高かった。18~44歳の牧師は27%、55~64歳の牧師は22%、65歳以上の牧師は15%が、同性婚について「何の問題もない」と回答した。
教会の規模別で見ると、小規模な教会の牧師ほど、同性婚を問題視しない傾向が高いことが分かった。同性婚について「何の問題もない」と答えた牧師は、50人未満の教会では27%、50~99人の教会では25%、100~249人の教会では11%、250人以上の教会では8%だった。
米公共宗教研究所(PRRI)が3月に発表した、LGBTQの権利に関する見方を調べた23年の調査結果(英語)も、ライフウェイリサーチの調査結果同様、同性婚やLGBTQの差別撤廃に対する支持が、米国全体でわずかに減少していることを示した。
具体的には、「ゲイ、レズビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダーの人々を、職業、公共施設、住宅に関する差別から守る法律」に対する支持率は、22年の80%から23年は76%に低下した。同性婚に対する支持率も、22年の69%から23年は67%に低下した。
PRRIのメリッサ・デックマン最高責任者(CEO)は、次のように語った。
「われわれの調査によると、LGBTQの権利に対する支持は22年から23年にかけて若干低下していますが、大多数の米国人はLGBTQの米国人の差別撤廃と同性カップルの結婚の権利を引き続き支持しています。これらの問題に対する党派的な分断が大きくなっているのは、LGBTQのアイデンティティーとLGBTQの権利が、わが国の文化戦争において、分裂を引き起こす争点として利用され続けていることの影響を示しています」