1935年にビル・ウィルソンとボブ・スミス博士によって設立されたアルコホーリクス・アノニマス(AA)は、「匿名のアルコール依存症の人々」という意味で、アルコール依存症を克服しようとする匿名の人々が互いに助け合う非営利の国際的な組織だ。この団体は、アルコール依存症克服の集団支援を通して、これまで目覚ましい変革の力を示してきた。
ビル・ウィルソンの破壊的なアルコール依存症との個人的な闘いと、彼がデトックス病院で経験した霊的な体験から生まれたこの団体は、依存症からの回復のための世界的な力へと発展し、何百万人もの人々に人生を取り戻すきっかけを与えている。
キリスト教に発足の起源を持つにもかかわらず、AAは意識的に宗教に属することを避け、信仰の有無に関係なく全ての人が回復のチャンスを得るに値するという信念に根ざした包括的な理念を基盤としている。多くの会員はキリスト教を信仰しているが、AAは霊的な道の選択に関しても、個人の自由を尊重している。
「ハイアー・パワー(高次の力)」という概念が導入され、宗教的な要件を強制することなく個人的なつながりを奨励し、「私たちが理解する神」という言葉が穏やかなガイドとなる。福音主義的な伝道活動とは一線を画すこのオープンマインドなアプローチは、あらゆる立場の人々が依存症から回復するために歓迎される場を作るというAAの使命とシームレスに一致しているのである。
AAのフェローシップでは、個人が経験を分かち合い、断酒への道を互いに支え合うことができる。12のステップに要約されている、シンプルだが奥深いモデルが、AAの成功の骨格を形成している。この組織では、共同体意識、個人の責任感、成長への継続的なコミットメントを育むことに重きが置かれている。AAの会員は深い絆で結ばれ、勝利と苦難を分かち合い、依存症との闘いで孤独を感じている人々を支える環境を作り出している。
人に知られずに依存症からの回復の旅に出るために、それぞれの国にあるAAのオフィスに連絡を取ることができる。AAは「宗教を押し付けない」というポリシーを戦略的に採用しているが、まさにその骨子にあるのは聖書的な愛の共同体だ。人々との触れ合いを通して、依存症からの脱却という現実の必要に対処しつつ、言語化するしないに関わらず、福音的な愛の共同体の中で、人々は互いの愛と思いやりに触れられるのだ。
願わくば、彼らがこのプログラムを通して、愛の源である創造主を発見することができるよう祈っていただきたい。
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