西アフリカ諸国を越境して物資を運ぶ長距離トラックの運転手の仕事は、危険の伴うストレスの多い仕事だ。運転手たちの雇用は不安定であることに加え、強盗の脅威、汚職警官からの恐喝に直面する。また、港で陸揚げされた輸入品を運んで岸部から東の内陸国へ国境を越えることもあり、異文化や言語の壁にも直面する。
ある日、アハメッドは港を出て次の荷物を運ぶ準備をしていた。そんな彼のために、あるキリスト教徒たちが祈りをささげてくれた。アハメッドはイスラム教徒であったが、祈られたことを拒否したり怒ることもなく、彼はキリスト者たちの祈りを受けた。
ところが、アハメッドはトラックを走らせ道を進むと、一つのことに気が付いた。いつもなら警察の嫌がらせがたびたび起こるのだが、今回は全くそれが起きなかった。彼は、そういえばあのキリスト教徒たちが、警察の妨害から守られるようにと祈ってくれたと、道すがら思い出した。
数カ月後、港であの祈りをささげてくれた信者たちを見かけたので、彼は仲間を集めて彼らの所へ行った。あの時、彼らはアハメッドに話を聞いてほしいと頼んだが、彼は出発のために急いでいたため、話を聞かずに行ってしまった。しかし今は、アハメッドの方から話を聞きたいと、仲間まで連れてやって来たのだ。
アハメッドは「この人たちの祈りには力があるんだ。この前の運転で、彼らが祈ったように俺はことごとく守られたんだよ。お前たちも彼らの話を聞くといい」と言って仲間を誘ってきたのだ。
アハメッドは、港に戻るたびにこれらの信者たちを見つけ、毎回話を聞き、前と違う話をしてくれるようにと頼んだ。月日がたつにつれ、彼は救い主の必要性を理解し、キリストに信仰を置いたのだ。
西アフリカのトラック運転手のための伝道活動は、およそ10年前に始まった。現在では5カ国に拡大し、70人の地元の信者ネットワークが形成されている。新しい信者が洗礼を受け、トラック輸送の拠点となっている幾つかの港や都市に、彼らによって教会が建てられたのだ。
ブルーカラーであろうとホワイトカラーであろうと、福音は万人に必要だ。治安の悪いアフリカ諸国で長距離を運転するトラックドライバーには危険が伴う。彼らにとって信仰は大きな助けであり、信仰の恵みは彼らの間で証しとして広がっているのだ。
これら西アフリカのトラックドライバーが、物資のみならず福音を運ぶ者とされていることには大きな励ましを受ける。彼らの働きが危険から守られ、さらなる福音の前進となるように祈っていただきたい。