大規模な山火事が発生した米ハワイ州マウイ島にあるハーベスト・クムラニ教会は、特に深刻な被害に見舞われた同島西部ラハイナに位置していたものの、会堂への直接の被害は免れた。一方、信徒の中には自宅に被害を受けた人もおり、同教会は寝る間も惜しんで被災者支援に取り組んでいる。
同教会は、元プロサーファーのリッキー・ライアン牧師が1980年代初めに設立。7年前に、大衆伝道者のグレッグ・ローリー牧師が率いる「ハーベスト・クリスチャン・フェローシップ・ネットワーク」(HCFN)に加わり、現在は毎週の礼拝に千人近くが出席している。
ハワイ州出身者で、HCFNの戦略・革新担当責任者であるジョシュ・モリス氏は、米キリスト教メディア「クリスチャンポスト」(英語)の取材に応じ、次のように語った。
「山火事は私たちハーベスト・クムラニ教会の会衆にとって完全に破壊的でした。何人かは家を失い、さらに多くの人たちが職を失っています。山火事は、私たちの牧会チーム全員に個人的な影響を与えています。私たちはこの数日間、ラハイナのコミュニティーのために祈り、支援し、愛してきました。私たちのチームの多くは、ほとんど睡眠を取らずに活動しており、この傷ついたコミュニティーにイエスの光を照らすために全力を尽くしています」
モリス氏はまた、「信徒たちは山火事の影響を受けていますが、彼らの希望はイエス・キリストと、イエスが教会に与えてくださる慰めにあります」と述べ、幸いにも会堂は被害を免れたと説明。被災者支援ための特設ページ(英語)を案内し、協力を呼びかけた。
マウイ島の山火事は8日に発生。乾燥した季節とハリケーンによる強風が重なったことで猛威を振るい、非常事態宣言が発令され、避難勧告が出された。
15日までに確認された死者は106人に上り、今後さらに増えると予想されている。ロイター通信によると、山火事で損壊した建物は2200棟を超え、被害額は約55億ドル(約8千億円)に上る。
85人の命を奪った2018年のカリフォルニア州北部の山火事よりも深刻な被害となっており、1918年にミネソタ州で発生し、453人が亡くなった山火事以来、米国史上ここ100年余りで最悪の惨事となった。
ジョー・バイデン米大統領は10日、ハワイ州からの災害宣言申請を承認し、火災の影響を受けた人々は連邦政府の資金援助が受けられるようになった。一方、複数の援助団体も救援活動を開始している。
その一つであるキリスト教人道支援団体「ワールドヘルプ」のノエル・ブリューワー・イェアッツ代表は、クリスチャンポスト(英語)の取材に応じ、次のように述べた。
「マウイ島は今回の山火事で壊滅的な打撃を受けています。ラハイナにいる私たちのパートナーは、ほとんど何も残っておらず、まるで戦場のようだと言っています。非常に多くの人々が、家も生活も全てを失っています」
「癒やしと再建には何年もかかるでしょう。ワールドヘルプは、家族やコミュニティーが癒やしのプロセスを始められるよう、私たちの役割を果たしたいと考えています」