昨年1年間で、ドイツのカトリック教会から50万人を超える信者が去ったことが、最新の統計で明らかになった。
ドイツ・カトリック司教協議会が6月28日に発表した2022年の統計(ドイツ語)によると、22年の退会者は52万2821人に上り、21年の35万9338人を大きく上回り、過去最大となった。これに対し、22年の入会者は1447人、再入会者は3753人にとどまっており、昨年1年間で実質的に50万人を超える信者がカトリック教会を去ったことになる。
一方、22年の受洗者は15万5173人で、20年の10万4610人、21年の14万1992人に比べ増加した。
それでも、退会者の他に死亡者もいるため、22年の総信者数は2093万7590人と、21年の2164万5875人に比べ、70万人以上も減少した。
ドイツ・カトリック司教協議会は、退会者急増の理由について明らかにしていないが、聖職者による児童性的虐待の長引く影響が考えられる。同司教協議会は18年、聖職者による児童性的虐待に関する報告書を発表。1946年から2014年までの約70年間に、聖職者による児童性的虐待が少なくとも3677件あったことを公表している。
AP通信(英語)によると、ドイツのカトリック信徒組織「ドイツ・カトリック中央委員会」のイルメ・ステッターカープ委員長は声明で、退会者の多さに「悲しいが、驚きはしない」とコメント。「この数字は明確な言葉を語っている」と言い、「教会は、特に虐待スキャンダルにより、信頼を失ったのです。それなのに、教会におけるキリスト教的生活の未来に向けたビジョンを実行するための十分な決意さえ示せていないのです」と語った。